2014年6月18日水曜日

アラスカ、キナイ山脈の鏡




今年は春の訪れが早かった。普通なら、やっと雪が解けたけど、まだまだ寒さの続くはずの5月上旬に、すでにアンカレッジ周辺は新緑に覆われていた。

1ヶ以上も早い新緑の季節、そして6月には気温もグングン上昇し、日照時間も延びてすでにアラスカは夏の真っ盛り。一日20時間以上の太陽の下、植物は瞬く間に成長し、原野には早くも野草が次々と花を咲かせている。アラスカで最も美しい季節の訪れが予定以上に早く来てしまったから、撮影をする側も忙しい日々を過ごしている。

キナイ半島に位置する大きな氷河湖、キナイ・レイクはサーモン釣りで有名なキナイ川の源流となる湖として知られているが、晴れた日の湖は息を飲むような絶景なのだ。深いエメラルド色の水面が波ひとつなく穏やかに広がり、対岸のキナイ山脈を湖面に鏡のように映し出す…。

自然写真を始めた頃から、水面に映る風景にはいつも特別な魅力を感じていた。

早朝、前日まで降り続いていた雨が止み、青空が顔を出し始めていた。風は全くなく、湖面は波ひとつない…、静かだ。日の出間もない太陽が、雲の間から対岸の山脈を照らし始めた。雲の隙間から射す細い光は山の頂上から下へと、ゆっくりと移動していった。滑らかな湖面は、山を照らす光の模様をしっかりと映し出している…。誰もいない湖畔で、時の経つのも忘れ、原野の見せてくれる美しい瞬間を見つめていた…。

こちらはキナイ半島北部の湿原に写る氷河と山脈。