2016年7月23日土曜日

アラスカ、キナイ山脈と夕日


 5月下旬のアラスカはすでに白夜の季節、夜の10時を過ぎたというのにまだ明るかった。キナイ半島に向けてスワード・ハイウェイを南下していると、長い日照時間にようやく終わりが来て、陽が傾き始めた。すでに11時を過ぎている。太陽は時間をかけてゆっくりと西のかなた、海の向こうに沈もうとしていた。

 辺りが桃色の光に包まれて、白いキナイ山脈に最後の光を照らし出した。急いで場所を選んで、カメラをセットする。白夜の日没の空の色はため息が出るほど美しい。

 反対側の空はまさに沈みゆく夕日の輝きで、明るいオレンジ色に染まっていた。

夕暮れの空の色が時間をかけて薄れ、闇が辺りを覆いはじめた。暗闇の訪れと同時に、入り江に潮がゆっくりと戻ってくる音だけが響いていた。