2018年5月19日土曜日

アラスカ、 マクニール・リバー野生動物保護区⑤(McNeil River State Game Sanctuary)-クマの闘争


昨年の7月、マクニール・リバー野生動物保護区を訪れ、川いっぱいに遡上するサケを求めて集まるクマたちを観察し、撮影を行った。獲物のサケが豊富なこの時期、いつもなら単独行動のクマたちも、マクニール滝周辺の急流に所せましと集まってくる。肩が触れ合いながらも、サケを捕って体に栄養分を蓄えることばかりに必死で、他のクマのことなどほとんど眼中にない。とはいえ、これだけの至近距離に複数の巨大なクマたちが集まるのだから、闘争は避けられない。

クマ同士の闘争はと突如として始まる。先ずは、一方が口を半開きにしてうなり声をあげる。それに応えるかのようにもう一方もうなり声上を上げる。にらみ合い、うなり合いの緊張が続く…。

一方が闘志を表し前進。大半の場合はもう片方が身を引くことでその場は収まることが多く、肉弾戦になることはあまりない。ほとんどの場合、闘争は一瞬にして終わる。ほんの数週間の短いサケのシーズンに時間や体力を無駄にしたくない、一匹でも多くのサケを捕まえて食べ、長い冬眠の季節に向けて準備をすることのほうが大切なのだ。

一方、滝の下流では2頭の若いクマたちが取っ組み合っていた。本気ではなく、半分遊びといった感じで、うなり合い、噛み合う。

本気の争いとは違って、遊び交じりの喧嘩は数分間も続いた…。

この2頭のクマたちはその日の間に、取っ組み合いを何回も繰り返していた。

一見遊びのように見える闘争だけど、将来の権力争いに向けてのスキルアップにつながる大切な練習なのだ。

巨大な優勢グマに追われて逃げる若グマ。

数十頭にも及ぶクマ達を観察していると、体の大きいクマたちの体には必ずと言っていいほどいくつかの傷がある。この先、この若いクマたちにも、数々の試練が待っているのだ。

次回に続く。