オーロラの撮影は、一般的な自然写真とはまた別のチャレンジが必要だ。自然の最も美しい瞬間といわれる、日の出の瞬間や夕焼けなどは、時間帯の予測ができるのだが、オーロラはいつ出るという保証がない。真冬の長い夜の間、特に夜中から朝方が出やすいといわれているが、空が晴れていて、オーロラ予報が良くても全く出ないで朝を迎えてしまうこともあるのだ。忍耐強く待ち続けて、定期的に北方の空をチェックするしかない。感動的なオーロラの出現を待ち続けること数週間…、いったいこの冬に期待していたような写真が撮れるのだろうかと思いはじめた頃のことだった…。
2月の初め、2晩にわたって見事なオーロラが空を飾った。2月4日、午後8時ごろ、早くも光のアーチが北方の山の上に現れた。光のアーチはゆっくりと動きながらも、しばらくの間同じ場所にとどまっていたのだが、突然、左側の部分が小さな渦を巻き始めた。反対側の山の後ろからも、緑色の光の炎がゆらゆらと空高く出現…。
天空を飾るオーロラの見事なショーはそれから一晩中続いた…。ピーク時には、明るい緑の光が頭上をうねりながら走り、さらに北側の山の背後からも、太い緑の光が空を駆けていた。南側の空には、天の川のような白色の光が空の半分をおおっていた。空全体が明るく輝き、現実離れした光景を息をのんで見上げていた…。
翌日、山の上からオーロラを撮影。雪上車を降りるなり、明るい緑色の光のアーチに出迎えられた。西方の地平線からは、明るい光の炎が天空に向かって揺らめきだした。頭上まで届いた炎が、火の粉のように動き出し、天空に巨大な渦を巻きだした。光は一ヵ所にとどまることなく、空を駆け巡る…。
休む間もなく、新たな光のカーテンが現れ、波を打ちながら空を移動していく…。まさに"光のダンス"という表現どおりだ。次から次へと鮮やかな光が現れ、揺らめき、広がり、消える頃にはまた別の光が出現…。空一面を舞台としたオーロラのショーは一晩中観客を楽しませてくれた。
空一面に、淡い緑色の光が霧のように広がった…。光の霧は南の空までも広がった。オリオン座の後ろに珍しくもオーロラが出現…。