険しいい高山、氷河に抱かれるようにひっそりと建つ赤い建物…。ランゲル・セントエライアス国立公園の中心部ケニコットはかつて銅鉱山の町として栄えていた。1,900年、当時未開の荒野ケニコット氷河沿いの一帯に純度の高い銅鉱石が発見されて以来、当時最新の技術を誇る精錬所と労働者の生活の町が建てられ、鉱石を運送するための鉄道が急速に引かれた。厳しい労働条件の下、一時期は600人にも及ぶ労働者が、鉱山および精錬所で働いていた。
1938年に鉱山が閉鎖された後、ケニコットはゴーストタウンとして忘れられていたのだが、観光の名所として、近年再び注目を集めている。1980年、ケニコットを含むこの広大な一帯が、ランゲル・セントエライアス国立公園として指定され、ケニコット・ミル・タウンは国立歴史的建築物(National Historic Landmark)に登録された。精錬所をはじめとする当時の建物は、国立公園局によって修復保存が続けられている。
こちらに来て4ヶ月間、自然風景に加え、ケニコット・ミル・タウンの撮影をしてきた。様々な天候、時間帯に撮影してきたが、やはり夕日の下で赤く輝く時が、一番のお気に入りだ。