南東アラスカ、グレーシャー・ベイ国立公園を貫くフェアウェザー山脈は氷河を抱く数多くの高峰から成り立つ。標高4,600mのフェアウェザー山を含む山脈は,全長113kmにも及んでいる。
南東アラスカの例にもれず、グレーシャー・ベイの上空はいつも重い雲におおわれているので、このフェアウェザー山脈が顔を出すことは珍しい。雲の晴れ間から姿を現す白く連なる峰は感動的な美しさだ。
8月のある晴れた日、フェアウェザー山脈の正面に当たる浜辺で、キャンプをしながら夕日が落ちるのを待っていた。アラスカの一日は長い。北極圏からかなり南に当たる、グレーシャー・ベイでさえ日没は9時過ぎだ。ゆっくりと時間をかけて傾いた夕日は、フェアウェザー山脈の後ろに隠れ、峰を明るいオレンジ色に染めた。空は次第に赤みを増していく…。やがて空全体が朱色に輝き、手前に広がる満潮の海までも空の朱色に染まった。北の大地での日没は長い…。日が傾き始めてから1時間ほどかけて、空の色を変えながらゆっくりと沈んでいくのだ。この日の夕焼けはグレーシャー・ベイにて過ごした3ヶ月間で最高の美しさだった。日が沈むと、無数の明るい星を散らした天の川が空を照らし出した。どこからともなく狼の遠吠えが一晩中続いていた。
翌朝も晴天は続いていた…。霧の多い南東アラスカには例外で、薄明かりの空にフェアウェザー山脈が白く輝いていた。日の出前に、空全体が淡いバラ色に染まりだした。朝日は時間をかけてゆっくりと顔を出す…。まずはフェアウェザー山の頂上をピンク色に輝かせて、ゆっくりと山全体を桃色に染めていく…。ありがたいことに、アラスカの日の出も時間をかけながらゆっくりと昇る。フェアウェザー山脈の一つ一つの頂上を撮影することができた。グレーシャー・ベイには稀な日の出の瞬間だ。フェアウェザー山脈をバックに撮影した夕焼けの数々…。
フェアウェザー山を空から撮影。
グレーシャー・ベイ国立公園での3ヶ月間の撮影を終え、現在アラスカ州の都市、アンカレッジに滞在中。