5月下旬、遅い春がやっと訪れようとしているアラスカから、常夏のハワイへ撮影に出かけた。初めてのハワイだ。これまでアラスカはもとより、全米各地を旅してきて、北米特有の山岳地帯、原野ばかりに目を向けてきたのだが、なぜか今になって南太平洋の独特の風景、熱帯雨林を撮りたくなった。
ビッグ・アイランド(ハワイ島)はハワイ全6島の中でも1番大きい島なのだが、現在でも活動を続けているキラウェア火山を含むハワイ火山国立公園をはじめ、頂上に雪を抱くマウナケア、深い熱帯雨林、ジャングルから流れ落ちる無数の滝、黒い砂のビーチ、さらにハワイ特有の野生動物などなど、2週間の滞在ではカバーしきれないほどのバラエティに富んだ自然が島全体にぎっしりと詰まっている。
今回のメインのひとつはもちろんハワイ火山国立公園だ。数年にわたって活動中の2つの活火山、マウナロアとキラウェア火山。激しい噴火の際に流れ出した溶岩、噴火口の数々、溶岩洞窟など、見所はつきない。噴火活動は数年前と比べれば落ち着いたものの、キラウェア火山頂上のハレマウマウ火口からは今でも灼熱の溶岩を噴出している。夕暮れ後の闇の中に赤く輝く火口、上空にきらめく無数の星…、これまでに体験したことのない自然の神秘的な瞬間を感じた。
一帯を飲み込んでしまった溶岩が見渡す限りどこまでも広がっている。家を失ってしまった人たちには申し訳ないのだが、偉大な自然の創り出した芸術にはただただ感心するばかり…。
暖かい夕日に照らされた溶岩…。
溶岩の割れ目からは新しい命が芽を出していた。
溶岩のトレイルは、黒い砂の海岸で行き止りだった。
次回、ビッグ・アイランド(ハワイ島)②プナルウ黒砂海岸のアオウミガメにつづく…。