2014年10月2日木曜日

オーロラの季節

 
9月下旬、アラスカはすっかり晩秋。白夜の季節が終わり、夜の暗闇が戻ってきた。早くもオーロラの季節がやってきた。2週間ほど続いた雨が止み、久しぶりの快晴。オーロラの活動も活発で、北極圏周辺はもちろん、アンカッレジ北部でも見られるという予想。

アンカレッジから北へ100キロほどの湖のほとりでオーロラを待っていた。この時期はまだ暖かく、湖の水もまだ凍っていない。水面にうつるオーロラを撮るなら、この季節だけだ。あと1-2週間もすれば、氷が張り始めてしまう。晴れ渡った空には肉眼で天の川が見えるほどの明るい星がきらめき、風ひとつない湖面にも星空が広がっていた。
 
すでに午前2時を過ぎた頃、地平線にうっすらとした光が現れはじめた。光は少しづつ明るさを増し、淡い緑のアーチになった…。アーチ状のオーロラは、波のようにゆっくりと揺れながら、湖の上に移動していった。鏡のような湖面にも、光の帯が揺らめいている。光は徐々に明るさを失い、ゆっくりと消えていった。また新しいアーチが現れ、明るさを増し、光の帯を湖面に描き、また消えていった…。現れては消える、という静かなオーロラのショーが静かなアラスカの原野で人知れずに繰り返されていた。オーロラの再来は、これからやってくる長い冬の始まり…、大地が雪に覆われる日もそう遠くない。
 
次回は、ヨーロッパ・アルプスの写真を掲載予定。