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2015年3月29日日曜日

アルプスの風景(フランス)

 
ここ半年の間、アルプス最高峰・モンブランとモンブランを一周するトレイルにて撮影した写真を載せてきた。カメラ機材を背負って歩いたツール・ド・モンブランハイキングの写真と記事は前回で終了したものの、アルプスからの記事のしめくくりとして、フランスのシャモニーからの写真を載せたいと思う。アルプスの峰に囲まれたリゾート地シャモニーは冬はスキー、夏はアウトドアの拠点として観光客が押し寄せてくる。ツール・ド・モンブランの旅の拠点となるシャモニーに数日滞在して、アルプスの風景の撮影をした。
 
フレジェール(Flégère)からラック・ブラン湖(Lac Blanc) の周辺は、ここフレンチ・アルプスの中でも屈指の絶景が続く。モンブラン山脈を真正面に望む高台に散らばるエメラルドグリーンの湖には、天気が良ければモンブランの峰を鏡のように映し出す…。
 
まさに写真家にとっては夢の場所で、1週間くらいここだけに集中して撮影してもいいと思ってしまう。残念ながら、激しい雷雨のため、夕日に染まるモンブランを映す湖畔の撮影はできなかった…。

ラック・フレジェール湖に映るモンブラン山脈。
 
アルペンロゼの赤い花がアルプスの風景に栄える。
 
フランス最長の氷河メール・ド・グラース(Mer de Glace)。シャモニー周辺の展望ポイントには、ケーブルカーやトラムなどで簡単に行けてしまう。

モンブランから流れ落ちるボソン氷河(Bossons Glacier)。カラフルなパラソルが気に入って撮影。

霧の中のラック・ブルー湖。モンブラン山脈にたたずむ数多くの湖のひとつ。

長らく続いた、ヨーロッパ・アルプスの記事は今回にて終了。次回はハワイ・マウイ島からの写真をお届けします。ぜひ、ご期待ください!
 

2015年2月1日日曜日

ツール・ド・モンブラン⑥(ヨーロッパ・アルプス) スイス・トリエン~フランス・レズーシュ

 
アルプスの最高峰・モンブランを一周するツール・ド・モンブランのトレイルを撮影しながら歩く旅もすでに後半を迎えている…。スイスアルプスの小さな村・トリエンを出発し、森の中のトレイルを峠に向けてひたすら登る。幸いにも、晴天が続いている。森が開けて、お花畑の広がる高原に出た。スイス―フランス国境のあるバルム峠(Col de Balme, 2,195m)が見えてきた。バルム峠の向こうにはフランスのシャモニーが待っている。旅の終わりが近づいていることを感じはじめた。シャモニーの南、レズーシュを出発して10日あまり、すでに130キロ以上歩いてきた。
 
バルム峠に建つ山小屋が見えてきた。そして、その向こうには、シャモニーの谷を挟んで、白い巨峰・モンブランが出迎えてくれた。スイスに入ってからずっと姿を隠してきたモンブランが、再び姿を現した。
 
バルム峠で休息を取り、モンブランの撮影を行う。シャモニーの谷を見下ろすようにそびえるフランス側のモンブランがやはり一番絵になると感じた。感銘にひたる間もなく、シャモニー上空には灰色の雲が広がり、今にも雨が降り出しそうな気配がしてきた。撮影機材をしまい、再び歩き出す…。

フランスに入ると後はずっと下り坂、野草の咲く高原が続いていたのだが、曇り空の下では美しい風景もどこかさびしそうだった。その日の宿のあるシャモニー北部の小さな村、トレレチャンプ(Tre-le-Champ)に着く頃には、雨が降り出していた。

トレイル終盤はこの旅の、そしてモンブラン撮影のハイライトとなるはずだった…。ローグ山脈の高台に登り、シャモニーの谷を見下ろしてモンブラン山脈を真正面に眺めながら歩くという3日間になるはずだったのだが…、一晩中雨が続き、翌朝こそ止んでいたものの再び降り出し、森が開き岩場に出る頃には、文字通り土砂降りになった。

 土砂降りの中、鉄のはしごで垂直の岩肌を登ることになった。ガイドブックで何度も読み返した、このはしごをまさか、こんな悪天候で登ることになるなんて、予想外だった。雨にぬれて滑りやすいはしごを一段づつ確かめながら上る…。カメラ機材の入った重いパックが肩に食い込む。もしも足を滑らしたら、谷底まで真っ逆さまに落ちていく。辺りには人気がなく、転落しても誰も気づくことがないだろう。

はしごの真ん中でなぜか視線を感じた。なんと、手の届きそうな岩場にアイベックスが立っていた。アルプスの岩場に住む野生の山羊だ。大きな丸い目がこちらを見つめる。目が合ってしまい、見つめ合うこと数秒間…。またとない撮影のチャンスなのだけど、カメラは背中のパックの中。垂直岸壁のはしごの上で、土砂降りの中、パックを下ろしカメラを取り出すなんて、自殺行為だ。ポケットに入っていたコンパクトカメラで数枚スナップするのがやっとだった。そんな訳で、この写真の質が劣ることは許していただきたい…。

いくつかのはしごを登ると、トレイルはオープンな岩場に続いていた。激しい雨が続く中、山小屋への道を急いだ。雨は一晩中続き、さらに2日間、ほとんど休みなしで降り続いた。この3日間は、モンブランが一番美しく見えるはずだった…。撮影時間を考慮して、日々の移動を短めに取り、撮影にじっくりとりかかる予定だった。モンブランが夕日に赤く染まる姿をとらえるために、通常より1泊余分に計画していた。ところが、重たい雲と霧がシャモニーの谷を埋めつくし、モンブランは雲の中に隠れてしまって、3日間全く姿を見せてくれなかった。上の写真は、トレイルから最後に見たモンブランとシャモニーの街…。

トレイル沿いにあった遺跡が灰色の空の下、物悲しく見える。雨と霧の中視界が悪く、トレイルの分岐点を見逃してしまい、気が付いた時にはすでに3キロ以上も別のトレイルを歩いていた。雨の中、重いパックを背負いながら、往復で6キロ以上も余計に歩いてしまった。

ツール・ド・モンブランを歩き始めて15日目、ついに出発点のフランス・レズーシュ(Les Houches)に戻ってきた!約170キロのモンブランを一周する旅が、終わった。

翌日、シャモニーに戻ると、太陽が顔を出した。

シャモニーにある中世の教会。

シャモニーを発つ前日、夕日に照らされたモンブランと氷河。

次回も、シャモニー周辺のアルプスの写真を掲載予定。ぜひ見てください。

2014年10月24日金曜日

ツール・ド・モンブラン(ヨーロッパ・アルプス)①Les Houches - Elisabetta, (フランス-イタリア)

 
フランス、アルプスの麓の街・シャモニーで数日間の撮影後、約15キロのパックを背負い、全長170キロを超えるトレイル、ツール・ド・モンブランを歩き始めた。ヨーロッパ・アルプスの最高峰、モンブラン山脈の周りをぐるりと一周する。フランス、イタリア、そしてスイスの国境を越えるこのハイキングコースは、特に人気が高く、夏の間に世界各地からたくさんのハイカーが訪れる。一周するのだから、どこから始めてもいいのだが、ガイドブックなどで紹介されている、シャモニーの南・レ・ズーシュからの出発を選んだ。

レ・ズーシュを出発した第一日は前日から降り続く土砂降りの雨。泥と水溜りの急な登りがしばらく続き、やっとのことで、高原地帯に入った。急流に架かるつり橋を渡り、本来なら氷河と岩山、そして山野草が咲き乱れる風光明媚なこの場所は、雨と霧で視界が悪く、期待していた写真が全く取れなかった。降り続く雨がトレイルを流れ、滑りやすくなっていた。撮影機材の重さが、肩から背中、腰にかかる…。とにかく、その日の宿にたどり着くことが目的で、ひたすら歩いた。

このツール・ド・モンブランのトレイル沿いには、数多くの山小屋が点在している。活動拠点のアラスカはもちろん、アメリカ各地の国立公園でのトレイルは、基本的にテントを担いで自炊が当たり前だから、相部屋とはいえベッドが用意されていて、フルコースのディナーに簡単な朝食が出て、施設によっては熱いシャワーを浴びることができるなんて、なんて贅沢なんだろう。しかも宿泊費は想像以上に割安だ。中には好んでキャンプをしている人たちにも出会ったけど、ほとんどのハイカーたちは小さめのパックで山小屋に泊まりながら、10日以上にもわたるハイキングを楽しんでいた。ところが、カメラ機材一式と三脚を含むパックは、約15キロ、さすがに重い…。

このツール・ド・モンブランのトレイルのあるアルプス一帯には、チーズの原料となる牧牛が盛んで、丘という丘は草をはむ牛たちで埋め尽くされていた。牛たちは、ハイカーには目もくれず、ひたすら黙々と食べ続ける…。牛一頭一頭につけられたベルが一帯に鳴り響き、この旅のバッグミュージックとして耳に残っている。トレイルはContamines-Montjoie自然保護区に入った。2日目も一日中雨だった。

前日の雨が夜の間に雪に変わり、野草の咲く緑の峠はすっかり雪の下に隠れてしまった。7月中旬だというのに、このアルプスで雪の中を歩く羽目になってしまうなんて…。本来なら、絶景の山岳地帯になるはずの、ボンノム峠(Col du Bonhomme)は、霧雨と雪で視界がほとんどなく、雪に隠れた急なトレイルを滑りながらひたすら登るという、意外な展開になった。この峠での撮影を楽しみにしていただけに、本当に残念でならなかった。この日はとうとうカメラを取り出すこともなかった…。

4日目、雨は小降りになったものの、まだまだ曇り空の下、フランスからイタリアへの国境を超えた。国境はセーニュ峠(Col de la Seigne)にまたがり、国境を示す小さな石碑が立っているだけで、入国審査どころか無人だった。本来ならこの峠からモンブランが再び姿を現すはずらしいのだが、霧と強風で視界が悪く、何も見えなかった。
緩やかな峠がイタリア側に下っていく。灰色の雲が次第に薄くなり、雄大な山々が垣間見え始めた。雲の間から、うっすらと日が差すと、辺りは魔法に包まれたように、緑の草原が色好き、野草が明るい色に点された。やっと撮影ができる!

色とりどりに咲き乱れる野草の中から、アラスカでおなじみのワタスゲ(Cotton Grass)と勿忘草(Forget-me-Not)を見つけた。遠く離れた大陸の、全く別の国に同じ花が咲いていた。

こちらは、アルプス特有のBlue Gentians。

 アルプス山中に数多く残る遺跡の一つ…。

まだ日が出ているうちに、2つの氷河の近くへ登った。(Lex Blanche氷河とEstellette 氷河) アルプスでは、驚くほどの速さで氷河が後退している。十年位前までは雄大に流れていた氷河も、現在ではほんの少し山肌に残っているという程度で、正直がっかりする眺めになってしまった…。

この続きは、次回のブログにアップします。ご期待を!
 

2014年10月5日日曜日

ヨーロッパ最高峰・モンブラン

 
ヨーロッパ・アルプスの最高峰、「白い山」を意味するモン・ブラン(Mont Blanc 4,810.9m)はフランス、イタリア、スイスをまたがる国境に位置する。青い空の下、氷河を抱く白いモン・ブランの頂上は、ため息の出るような絶景だ。おなじみのケーキ、モン・ブランはフランス側から見えるこの山をモデルに作られたのだ。

この度、モン・ブランを中心としたアルプスの自然を撮影するために、初のヨーロッパへ向かった。カメラ機材一式を背負って、モン・ブラン周辺を一周するトレイル、ツール・ド・モンブラン(Tour du Mont Blanc)を歩く。全行程約160キロ、約2週間かけて、峠を越え、山野草の咲く高原を歩き、放牧地を横切り、フランスからイタリア、そしてスイスを通過し、フランスへ戻ってきた。

モン・ブランの周りをぐるりと一周しながら、様々な角度からこの山を撮影してきたが、やはりフランス側からの眺め、白く丸みを帯びたモン・ブランの姿が一番だ。雨が止み、雲が晴れ、シャモニーの街を見下ろすように現われた白い山は感動的だった。

モン・ブランぐらいの高峰になると、雲を引き寄せ、山岳特有の天気を作り出してしまう。アラスカのマッキンリー同様、雲の中に姿を隠してしまうことが多いのだ。モン・ブランの撮影には運と忍耐が必要だ。
 
ありがたいことに、モン・ブラン周辺には便利な交通機関が整っており、トラムやケーブルカーを利用すれば、撮影に最適な絶景地点までほんの数分で行くことができる。

モン・ブランの頂上を間近に撮影するために、エギーユ・デュ・ミディ(Aiguille du Midi)の展望台へ向かった。標高3,842mのエギーユ・デュ・ミディの頂上にある展望台にも、ケーブルカーとエレベーターで簡単に着いてしまう。展望台に着いた時には、霧で視界は真っ白。冷たい風の吹く中、待つことしばらく…。霧の向こうにモン・ブランの巨峰が少しづつ見え隠れし始めた。じらされているみたいだ。見えては隠れ、をしばらく繰り返したあと、霧のベールが完全にはがされて、白いモン・ブランが青空を背景に姿を現した。太陽の光を浴びて白く輝くモン・ブランに手が届きそうだ。この期を逃さず、と撮影を続ける…。その後しばらく、モン・ブランは隠れることなく撮影を許してくれた。

こちらはイタリア側から見たモン・ブラン。イタリア語では、モンテ・ビアンコ(Monte Bianco)。どちらも白い山という意味だ。フランス側で見た山とはぜんぜん姿が違う。数日間降り続いた雨が止み、やっと姿を現した。朝日を浴びて赤く輝くモン・ブランの撮影に成功。

こちらも、イタリア側。アルプスの山中にはたくさんの遺跡が存在する。

フランス側。ブレヴァン山頂(標高2,525m)から、モン・ブランが真正面に見える。降り続いた雨が止み、アルプス滞在の最終日に、やっと姿を現してくれた。

次回もアルプスからの写真を初回予定。ぜひ、見てくださいね。