2011年9月23日金曜日

秋のオーロラ

白夜の夏が終わり、アラスカ内陸に秋が訪れる頃、夜の暗闇が戻ってきた。一日7分と日に日に日が短くなり、9月の今では本土と変わらずに夜がやってくる。夜の訪れとともに、早くもオーロラが空を舞い始めた。9月に入って間もなく、太陽から放出される太陽風が活発になり、連日のように見事なオーロラが出現…。

この時期はまだ比較的暖かく、外に出てオーロラを撮影するのには都合がいい季節なのだ。重い防寒具に重ね着をしても、体中に痛みを感じる真冬に比べて、軽い上着をはおり、手袋なしで撮影できることは実にありがたい。周囲の自然を感じながら、外でオーロラを待つことができるのだ。
月明かりの中、オーロラの撮影地に選んだ湖に向けてトレイルを歩いた。中秋の満月間近、白樺の森の中を行くトレイルが懐中電灯なしでもはっきりと見える明るさだ。ちょうど紅葉のピーク時で、山全体がやわらかい光に照らされて黄金色に浮き上がっている。
空気はひんやりと冷たい。湖の表面には霞が漂い、幻想的な雰囲気を作り出していた。風はなく、水は微動だにしない。表面には、黄金の山と一面に散らばる無数の星がくっきりと映っている。静かな原野の中、近くを流れる川のせせらぎの音だけが聞こえる…。
カメラをセットし、待つことしばらく…。ぼんやりとした光が山の向こうから現れた。より明るいオーロラが反対方向からも現れ、うねりながら光を増していった。あわててカメラの場所を変える…。緑白色の光は頭上で渦を巻き、散らばり、また別の光のラインが地平線に向けて波を打ち出した。明るい緑色の下に、肉眼でも見えるピンク色の光が現れては消えていった。
まるで夢を見ているかのようだった…。
自然を感じ、自然と一体になったような不思議な感覚を覚えた…。