2015年7月15日水曜日

ハワイ・マウイ島—スピリチュアルな竹林の小道

 
昨年の12月、真冬のアラスカを離れ、 ハワイ諸島のマウイへ撮影に出かけた。ビーチもいいけど、深い緑の熱帯雨林と 滝の風景に特に惹かれてしまう。マウイ島東の小さな町・ハナから南下して、ハレアカラ国立公園の一角に 向かう…。まだまだ緑のジャングルが続く…。

連日の雨で水かさを増したワイルア滝。

緑の断崖を流れ落ち、オヘオ峡谷は海へと注ぎ込む。

アジアの風景を思わせるこの竹林。実はマウイ島東部には広大な竹林が広がっているのだ。ハレアカラ国立公園の深い熱帯雨林から始まるこのトレイルは、オヘオ渓谷に沿って続き、滝とともに次第に高度を増していく…。いくつかの小さな橋を渡ると、辺りはいつの間にかジャングルから竹林へと変わっていった。竹林はさらに密度を増し、真昼とは思えないような暗さになった。風と雨、せせらぎの音に交じって、 竹同士がぶつかって独特の音を立てていた。

この雰囲気を写真に表現するためには、三脚を立て、シャッター速度を13秒から15秒まで落とした。風に揺れる竹林をブレなく撮影するのはほとんど無理。

延々と続く竹林の小道を小雨の中歩いていると、なぜかどこか不思議な、スピリチュアルな感じを受けた。その昔、まだ日本に住んでいたころは、竹林を歩いてもこんな感じにはならなかったのに…。アメリカに移り住んで、逆にアジア的なものに神秘を感じるようになったようだ。

竹林を抜けると、高い木々の林になった。木々の間から、緑の崖を流れる滝が見えた!

ワイモク滝、落差122メートル!スピリチュアルな小道の終わりにふさわしい光景だった。

さて、次回は、マウイ島ハレアカラ山頂からの日の出の写真を掲載予定。2週間後ぐらいに、訪れください。

2015年6月22日月曜日

緑の楽園‐ハワイ・マウイ島


ハワイ、マウイ島の東海岸を訪れた。写真家にとってはまさに夢のような世界-ジャングルという感じの熱帯雨林、無数の滝、静かなビーチ…。なかでも緑の囲まれた滝の風景は、特に私のお気に入りだ。
 
昨年12月、真冬のアラスカを離れ、ハワイの撮影に出かけた。初のマウイ島はもちろん、この時期に太陽の光を浴びるのを楽しみに出かけたはずなのだが…、あいにくの悪天候で、毎日のように雨が降った。


  "ハナへの道(The Road to Hana)"と呼ばれるマウイ島東海岸沿いのハイウェイは撮影のハイライト。熱帯雨林に覆われた緑の山々と海岸線の間を曲がりくねりながら、ハナの町へと続く道沿いには、数多くの滝が流れ落ちる。残念ながらこの日も雨。雨の中、機材を担いで泥だらけのトレイルを歩くことに…。ところが、連日の雨で水かさを増した滝は見事なボリュームで、滝の撮影としては完璧だった。上の2枚は、アッパー・ワイカニ滝。別名スリー・ベア滝。Upper Waikani Falls (Three Bears Falls)





橋の下を流れる大瀑布・マカピピ滝(Makapipi Falls)と、海岸に流れ込むアーティサン滝。(Artesian Falls)


ハナの町北部の静かな一角には、黒砂海岸がひそっりと横たわっている。マウイ島で唯一の火山岩によってできた黒砂海岸だ。霧雨の中、日の出を待つ…。天気は一刻一刻と変わり、淡いオレンジ色の光が雲の間から顔を出し、漆黒の海岸を紫色に照らし出した。あっという間に太陽は雲に隠れ、また雨が降り出した。



再び顔を出した太陽が、小さな洞窟に黄金の光を照らし出す…。幸いにも、この日は晴れ間が続いた。



ハナの町の近くには赤砂海岸もある。ハワイの自然は驚きの連続だ。
 
次回はマウイ島・ハレアカラ国立公園より、オヘオ峡谷('Ohe'o)、ワイモク滝(Waimoku Falls)へのジャングルの写真を紹介します。ぜひ見てください。


2015年3月29日日曜日

アルプスの風景(フランス)

 
ここ半年の間、アルプス最高峰・モンブランとモンブランを一周するトレイルにて撮影した写真を載せてきた。カメラ機材を背負って歩いたツール・ド・モンブランハイキングの写真と記事は前回で終了したものの、アルプスからの記事のしめくくりとして、フランスのシャモニーからの写真を載せたいと思う。アルプスの峰に囲まれたリゾート地シャモニーは冬はスキー、夏はアウトドアの拠点として観光客が押し寄せてくる。ツール・ド・モンブランの旅の拠点となるシャモニーに数日滞在して、アルプスの風景の撮影をした。
 
フレジェール(Flégère)からラック・ブラン湖(Lac Blanc) の周辺は、ここフレンチ・アルプスの中でも屈指の絶景が続く。モンブラン山脈を真正面に望む高台に散らばるエメラルドグリーンの湖には、天気が良ければモンブランの峰を鏡のように映し出す…。
 
まさに写真家にとっては夢の場所で、1週間くらいここだけに集中して撮影してもいいと思ってしまう。残念ながら、激しい雷雨のため、夕日に染まるモンブランを映す湖畔の撮影はできなかった…。

ラック・フレジェール湖に映るモンブラン山脈。
 
アルペンロゼの赤い花がアルプスの風景に栄える。
 
フランス最長の氷河メール・ド・グラース(Mer de Glace)。シャモニー周辺の展望ポイントには、ケーブルカーやトラムなどで簡単に行けてしまう。

モンブランから流れ落ちるボソン氷河(Bossons Glacier)。カラフルなパラソルが気に入って撮影。

霧の中のラック・ブルー湖。モンブラン山脈にたたずむ数多くの湖のひとつ。

長らく続いた、ヨーロッパ・アルプスの記事は今回にて終了。次回はハワイ・マウイ島からの写真をお届けします。ぜひ、ご期待ください!
 

2015年2月1日日曜日

ツール・ド・モンブラン⑥(ヨーロッパ・アルプス) スイス・トリエン~フランス・レズーシュ

 
アルプスの最高峰・モンブランを一周するツール・ド・モンブランのトレイルを撮影しながら歩く旅もすでに後半を迎えている…。スイスアルプスの小さな村・トリエンを出発し、森の中のトレイルを峠に向けてひたすら登る。幸いにも、晴天が続いている。森が開けて、お花畑の広がる高原に出た。スイス―フランス国境のあるバルム峠(Col de Balme, 2,195m)が見えてきた。バルム峠の向こうにはフランスのシャモニーが待っている。旅の終わりが近づいていることを感じはじめた。シャモニーの南、レズーシュを出発して10日あまり、すでに130キロ以上歩いてきた。
 
バルム峠に建つ山小屋が見えてきた。そして、その向こうには、シャモニーの谷を挟んで、白い巨峰・モンブランが出迎えてくれた。スイスに入ってからずっと姿を隠してきたモンブランが、再び姿を現した。
 
バルム峠で休息を取り、モンブランの撮影を行う。シャモニーの谷を見下ろすようにそびえるフランス側のモンブランがやはり一番絵になると感じた。感銘にひたる間もなく、シャモニー上空には灰色の雲が広がり、今にも雨が降り出しそうな気配がしてきた。撮影機材をしまい、再び歩き出す…。

フランスに入ると後はずっと下り坂、野草の咲く高原が続いていたのだが、曇り空の下では美しい風景もどこかさびしそうだった。その日の宿のあるシャモニー北部の小さな村、トレレチャンプ(Tre-le-Champ)に着く頃には、雨が降り出していた。

トレイル終盤はこの旅の、そしてモンブラン撮影のハイライトとなるはずだった…。ローグ山脈の高台に登り、シャモニーの谷を見下ろしてモンブラン山脈を真正面に眺めながら歩くという3日間になるはずだったのだが…、一晩中雨が続き、翌朝こそ止んでいたものの再び降り出し、森が開き岩場に出る頃には、文字通り土砂降りになった。

 土砂降りの中、鉄のはしごで垂直の岩肌を登ることになった。ガイドブックで何度も読み返した、このはしごをまさか、こんな悪天候で登ることになるなんて、予想外だった。雨にぬれて滑りやすいはしごを一段づつ確かめながら上る…。カメラ機材の入った重いパックが肩に食い込む。もしも足を滑らしたら、谷底まで真っ逆さまに落ちていく。辺りには人気がなく、転落しても誰も気づくことがないだろう。

はしごの真ん中でなぜか視線を感じた。なんと、手の届きそうな岩場にアイベックスが立っていた。アルプスの岩場に住む野生の山羊だ。大きな丸い目がこちらを見つめる。目が合ってしまい、見つめ合うこと数秒間…。またとない撮影のチャンスなのだけど、カメラは背中のパックの中。垂直岸壁のはしごの上で、土砂降りの中、パックを下ろしカメラを取り出すなんて、自殺行為だ。ポケットに入っていたコンパクトカメラで数枚スナップするのがやっとだった。そんな訳で、この写真の質が劣ることは許していただきたい…。

いくつかのはしごを登ると、トレイルはオープンな岩場に続いていた。激しい雨が続く中、山小屋への道を急いだ。雨は一晩中続き、さらに2日間、ほとんど休みなしで降り続いた。この3日間は、モンブランが一番美しく見えるはずだった…。撮影時間を考慮して、日々の移動を短めに取り、撮影にじっくりとりかかる予定だった。モンブランが夕日に赤く染まる姿をとらえるために、通常より1泊余分に計画していた。ところが、重たい雲と霧がシャモニーの谷を埋めつくし、モンブランは雲の中に隠れてしまって、3日間全く姿を見せてくれなかった。上の写真は、トレイルから最後に見たモンブランとシャモニーの街…。

トレイル沿いにあった遺跡が灰色の空の下、物悲しく見える。雨と霧の中視界が悪く、トレイルの分岐点を見逃してしまい、気が付いた時にはすでに3キロ以上も別のトレイルを歩いていた。雨の中、重いパックを背負いながら、往復で6キロ以上も余計に歩いてしまった。

ツール・ド・モンブランを歩き始めて15日目、ついに出発点のフランス・レズーシュ(Les Houches)に戻ってきた!約170キロのモンブランを一周する旅が、終わった。

翌日、シャモニーに戻ると、太陽が顔を出した。

シャモニーにある中世の教会。

シャモニーを発つ前日、夕日に照らされたモンブランと氷河。

次回も、シャモニー周辺のアルプスの写真を掲載予定。ぜひ見てください。

2015年1月5日月曜日

ツール・ド・モンブラン(ヨーロッパ・アルプス)⑤スイス・シャンペ~トリエン

 
アルプスの山岳風景の撮影のため、全長170キロにも及ぶトレイル、ツール・ド・モンブランを歩いた。7月中旬にフランス、シャモニーを出発した時から3日間は雨、予想外の真夏の雪の中、峠を越えることになった。それでも、フランスからイタリアへ、さらにスイスへとカメラ機材とともに歩き、アルプス最高峰・モンブランを様々な角度から撮影に成功した。

スイスの湖畔リゾート地・シャンペにて美しい夕焼けを撮影した翌日、いよいよツール・ド・モンブランのクライマックスといえる〝アルペッタの窓″(Fenêtre d’Arpette 標高2,665 m、トレイル最高地点)という峠を越える…。引き続き見事な快晴だ。

スイスアルプスの峰に囲まれた草原にワタスゲが咲く…。トレイルは徐々に勾配を増し、気が付いたら、ずいぶん高いところまで登ってきていた。

ついに、アルペッタの窓といわれる細長い尾根にたどり着いた。見下ろすと、本当にこの岩肌を登ってきたのかというくらい急だった。わずか数メートルの幅しかない狭い尾根にたくさんのハイカーたちが一息ついていた。峠の反対側から登ってきた人たちも、ちょうどお昼頃ここにたどり着いたところらしい。やっとカメラを取り出して、登ってきた谷を撮影する。

尾根まで登ってきたら、今度はトリエンに向けて反対側の谷へ下る、ということになる。こちら側のトレイルも滑りやすくて急だった。真夏の太陽がじりじりと照り付ける、数日前には雪が降っていたのに…。トレイルと並行して、トリエン氷河が岩肌を流れ、緑の豊かなこちら側の山肌には山野草が鮮やかに咲き乱れていた。

急なトレイルが緩やかになり、トリエンの谷へたどり着いた。パックを投げ出し、氷河から溶け出した流れに飛び込むハイカーたちを尻目に、トリエンの村までひたすら歩き続けた。この日の14㎞はツール・ド・モンブラン全170㎞の中で一番厳しかった。
 
トリエンの村の中心部の丘に建つ鮮やかなピンク色の教会を日没時に撮影する予定だったので、日が暮れるまでに撮影の準備をしなくてはと、急いだ。この旅の計画中に、ガイドブックに載っていたこの教会の写真を見て、ぜひとも夕日のやわらかい光の下でで撮影したいと思った。願いがかない、天候に恵まれたから、良い夕焼けになりそうだ。疲れた足をひきづって、日没前に教会の撮影に最適の場所を探し歩いた。カメラをセットして、日が沈むのを待つ…。太陽が地平線に近づき、赤みを帯びた最後の光が、教会をつつみこみ、背後にそびえるアルプスの峰を明るい朱色に染めた…。期待以上の美しい光景を撮影できた。

次回に続く…。

2014年12月11日木曜日

ツール・ド・モンブラン(ヨーロッパ・アルプス)④イタリア・エレナ~スイス・シャンペ

アルプスの最高峰・モンブランを一周するツール・ド・モンブランのトレイルを歩き始めて1週間が過ぎた。フランス側を出発してから最初の数日は雨が降り続き、4日目の峠では 、真夏の雪に降られてしまった。フランス-イタリアの国境を越え、イタリア側に入って、やっと太陽が顔を出し、撮影が出来るようになった。朝日を浴びて紅色に輝くモンブランとグランド・ジョラスの撮影に成功、次はスイスの国境に向けて出発。

フェレの谷を染める朝日を撮影してから、イタリア-スイス国境のグランド・コル・フェレ(Grand Col Ferret)の峠に向けて、ひたすら登る。撮影機材の入ったパックの重みが肩と腰にかかる…。高度が増すにしたがって、山の上部に少しだけ残る氷河が間近に迫ってきた。
 

国境を越え、ついにスイスへ入る。スイス・バル・フェレの谷はまたしても、放牧地。谷から丘までが、緑に覆われていた。

フェレの集落、氷河を抱く山を見上げる小さな教会。

フーリー村(La Fouly)に到着。いかにもスイスらしい山小屋風の建物に花、雰囲気が素敵だ。

翌日も見事な快晴、朝日に染まる氷河(I'A Neuve Glacier)を撮影後、フェレの谷を歩く…。

草原に咲く大きな野草。

プラズ・デ・フォートの集落を通過。古い民家と路地…。
 
湖畔のリゾート地シャンペに到着。小さな湖、シャンペ湖を囲む緑の山に静かにたたずむ避暑地。その日の午後は湖の撮影にじっくり取り組んだ。湖の深いエメラルド色を再現したくて、あらゆる角度から撮影を試みた。

夕日に染まるグランド・コンバル山を映し出すシャンペ湖。

 (次回に続く…)