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2017年3月29日水曜日

アラスカ・デナリ国立公園の秋


 昨年の9月に一週間ほどデナリ国立公園に滞在し、北米最高峰・デナリ(マッキンリー)の撮影を行った。前代未聞の好天に恵まれ、滞在中毎晩夕陽に染まるデナリ山の撮影に成功。これまでのブログで数回にわたって写真を紹介してきたけれど、デナリからの写真は今回で最後。今回は、紅葉に染まる風景を中心に集めてみた。

上記の写真は朝日に輝くデナリ山と紅葉の大地。

 アラスカの秋は短いけれど、一番美しい季節だと思う。夏の終わりが近づき、アラスカ内陸に夜の闇が戻ってくる頃、ツンドラの大地が黄金色から真紅に色づく。夕陽に照らされて、温かみを増す時間が特に好きだ。

風が収まり、湖の表面に映しだされるデナリの峰。デナリの映る場所を求めて、湖の周りを機材を担いで歩き回った。

 カリブーの落とし物。カリブーの角は毎年生え変わる。後ろの白い山はもちろんデナリ。

 氷河におおわれたデナリの峰は、日没間際の光を浴びてバラ色に輝く。湖上にそびえる白い峰。有名な写真家、アンセル・アダムスもここで撮影を行った。1948年、大判カメラを大型の三脚に乗せて撮影したモノクロの「Mount McKinley and Wonder Lakeマウント・マッキンリーとワンダーレイク」は印象深い。

 この年はブルーベリーの当たり年。見事に熟したブルーベリーの丘がどこまでも続くツンドラの大地。アラスカに6年くらい住んだけれど、こんなに粒の大きい野生のブルーベリーは見たことがなかった。そのブルーベリーの丘が見渡す限りどこまでも続いているのだ。

秋のアラスカは朝夕が冷える。霜に覆われたツンドラの大地に自然の芸術を発見。

最後の一枚はポリークローム・パスから。

これを書いている3月下旬の現在、デナリ国立公園のある内陸アラスカは氷点下、深い雪に覆われている。

デナリ国立公園での撮影を終えた直後、6年間住んだアラスカの別れを告げて、拠点をハワイへと移した。ハワイと聞くとビーチリゾートというイメージしか浮かばないという人がほとんどかもしれないけど、緑の熱帯雨林に覆われた山脈、数多くの滝、山に囲まれた入江などなど自然写真家にとって魅力的な場所が結構あるのだ。そんな知られざるハワイの自然を撮影していきたいと思う。次回のブログでは、ハワイからの写真を紹介予定。2週間後ぐらいにぜひまたお訪ねください。

7月下旬にはアラスカ、マクニール川自然保護区にてサケを獲りに集まる熊たちの写真撮影に向かいます。数の限られた貴重な許可書を所得したものの、アラスカまでの旅費、さらに自然保護区のある未開の地への小型機による運送費、撮影に必要な機材などかなりの出費がかかってしまう予定。そんなわけで恥ずかしながら、少しでも手助けをお願いして募金を募らせていただきます。こちらのサイトhttps://www.gofundme.com/r5jc2から少しでも簡単に募金をしていただけます。米25ドル(約2500円)以上募金をしていただいた方には、お礼として写真を送らせていただきます。ぜひよろしく!


2017年1月15日日曜日

マウント・デナリ(マッキンリー)-アラスカ・デナリ国立公園


8月下旬、紅葉真っ盛りのデナリ国立公園の撮影のためにキャンプをした。赤く染まるツンドラの丘にそびえる北米最高峰・デナリの白い峰を撮影するために数日間滞在した。夕日に染まるデナリの姿を一回でも撮影できることを願って、悪天候にも備えていたけれど、普段雲に覆われているアラスカ内陸の大地が奇跡的な晴天に恵まれた。全5日間、デナリの白い峰は雲に隠れることなく全貌をさらし続けたのだ。おかげで場所を変えながら、5晩日没の撮影に成功した。デナリの北壁はもちろんのこと、角度を変えて他の場所からの撮影もできた。

 アイルソン・ビジターセンターからの眺めも有名だけど、ビジターセンター背後の峰からの眺めはまた格別だ。デナリの峰を含めて、アラスカ山脈が一望に見渡せ、網の目のように流れる川、紅葉に染まった丘が広がる。見渡す限りの原野だ。

 もう一か所、お気に入りはストーニー・ヒルから見えるデナリだ。デナリ国立公園を訪れるビジターたちは公園入口から一本道をシャトルバスに乗って奥へ奥へと向かっていくのだけれど、なかなか北米最高峰にお目にかかれない…。約3時間砂利道に揺られて、この丘を曲がると突然デナリ(マッキンリー)全体が、まさに〝ジャーン!″という感じで姿を現すのだ。(晴れていればの話だが。)すでに15年も前のことだけど、初めてデナリ奥地に足を運んで、この丘を曲がった時の感動は今でもはっきり記憶に残っている。

 シャトルを降りてこの丘で撮影をした。雲が流れ、ツンドラの丘に波模様の影を落とす。白い峰を照らす太陽光が少しづつ角度を変えていく…。シャトルバスが行き交い、多くの観光客たちが、北米最高峰の雄姿に息を飲む。あっという間に数時間過ぎた。はるか下方の谷を行くバスが停まり、それに続く数台も停まる。野生動物が近くにいる証拠だ。黒い点が、砂利道をゆっくりと動いているのが見える。グリズリー・ベアだ!さらに数台のバスが加わる。デナリ観光のハイライト、グリズリーがバスのすぐ近くに現れた。カメラを向ける観光客たちを尻目に、グリズリーはゆっくりと丘を登り始める。小さな黒い点は眼下の丘の陰に隠れ、停まっていたバスが動き始める。次に姿を現した時には、黒点が大きくなり、見る見るうちにこちらの方に向かって走ってきた。念のため機材を片付け、近くに停まっているシャトルバスの方へ向かう。バスの運転手が乗客に向かって中へ入るように促す。グリズリーの巨体はすでにバスのすぐ近くまで来ていた。急な丘をあの巨体で、なんという速さで移動できるのだろう。そのままグリズリーはバスの後ろを回り、道を横切り、背後の丘に消えていった。

こちらは、当日の朝撮影したグリズリー。

次回もデナリ国立公園からの写真を紹介予定。ぜひ、2週間後ぐらいにチェックしてください。

2016年11月28日月曜日

湖面に映るデナリ(マッキンリー) - アラスカ・デナリ国立公園


 デナリ国立公園に滞在中、湖面に映るデナリ山の撮影のためにリフレクション・ポンドに何度も足を運んだ。この小さな湖に映る北米最高峰の風景はあまりにも有名で、世界各地の出版物にて紹介されている、まさに絵になる風景なのだ。この湖は早朝と夕刻には比較的穏やかで、デナリ山を連なるアラスカ山脈の峰を鏡のように映しだす。


 こちらは日中の光を浴びて白く輝くデナリ。


 夕日を浴びて輝くデナリを撮影するために、2時間前に湖畔に到着…。この日は強風が吹き荒れていて、湖面は波模様。日没までに風が収まることを願いつつ、他のカメラマンたちと湖畔で待ち続けたけれど、残念ながら風は一晩中止むことがなかった…。


翌日再びトライ、湖面に映るデナリの撮影に成功!陽が沈むにしたがって、刻々と色を変える峰…、息を飲むような美しさだ。

デナリ国立公園にての撮影は記録的な晴天に恵まれ、5晩連続して夕日に染まるデナリ山の撮影ができた。デナリの天候を知る者たちとって、5日間デナリが雲に隠れることなく姿をさらし続けるなんて奇跡に近い。

次回のブログでも、まだまだデナリに手の写真を紹介するので、ぜひ見てください!


2016年10月30日日曜日

アラスカ・デナリ国立公園、北米最高峰マウント・デナリ(マッキンリー)


 紅葉に染まるデナリを撮影するために、5日ほどキャンプをした。アラスカ内陸の天気は変わりやすく、北米最高峰のデナリ(旧マッキンリー)はすぐに雲の中に隠れてしまう。5日くらい滞在すれば、夕日に染まるデナリを一度ぐらいは撮影できるだろうというつもりで計画したのだけど、記録的な好天に恵まれて、滞在中ずっと白い雄姿を披露し続けてくれた。

 8月末のデナリはすでに秋。青空の下、ツンドラの大地は明るいオレンジ色に輝いていた。短い夏が終わり、長い冬が訪れる前に自然が見せてくれる最も美しい瞬間だ。

 湖面にうつるデナリの峰。

 全長6キロのワンダー・レイクとデナリ。

 山の頂上から見下ろした湖、そして背後にそびえるデナリ。この風景を撮影するためにツンドラの藪をかき分け、急な山肌をひたすら登った。ここからの眺めは格別、個人的に一番のお気に入りだ。真昼間の日差しは強すぎ…。次回はここで夕日に染まるデナリを撮影したい。

 日没の二時間前に、お目当ての場所に到着。夕日に染まるデナリの撮影も5日目、滞在最後の晩は夕日に染まったデナリが湖に映る瞬間を撮影したい、と気合を入れてセッティング。太陽が地平線に傾いていくのを待つ。幸い、風が収まってきて、湖面のさざ波が少しづつ落ち着いてきた。白く輝いていたデナリの峰が、黄金色に染まる。そして少しづつ赤みを増し、明るいオレンジからピンク色に刻々と変わっていく…。日没直前には峰全体が明るいバラ色に輝いた。湖の表面は鏡のようにデナリの峰を映し出していた。この日の夕日は5日間の中でも最も色鮮やかだった。あまりにも完璧な光景だった。15年前、デナリ国立公園でひと夏を過ごしてから、このイメージを撮影するためにキャンプすること数回、ついに成功!

 キャンプに戻るころにはすでに辺りは暗くなていた。暗くなると同時に、オーロラが空を舞い始めた。緑の光が天空で波打ち、渦を巻いた。そして、淡い光がデナリ上空に広がった。

翌朝、湖畔で撮影をしていると、一等のカリブーがツンドラを食んでいた。あまりにも静かで、近くに来るまで気が付かなかった。大きな角の頭を上げて、こちらをちらりと見たけれど、全く気にする様子もなく、ゆっくりと目の前を横切っていった…。

今回のデナリでの撮影はあまりにも完璧すぎた。奇跡的な好天のおかげで、休む暇もなく撮影を続けることができた。デナリの神秘的なまでの美しさに、また惚れ直してしまった。

次回もデナリの写真を紹介します。ぜひ見てください!


2016年8月25日木曜日

アラスカ、デナリ(マッキンリー)南壁

 北米の最高峰、デナリ山(旧名マッキンリー)をデナリ州立公園側から撮影。ちなみにデナリ州立公園は、あの有名なデナリ国立公園とは別物で、デナリ国立公園の南側にアラスカ州の州立公園として指定されている。このデナリ山という名は、アラスカ先住民語で偉大なもの(High One)を意味し、マッキンリーと名付けられる以前から使われていたもので、昨年オバマ大統領のアラスカ来訪の際に正式名に改称された。

朝日に輝くデナリの南壁を撮影するために、デナリ州立公園のケスギ・リッジへ出かけた。このケスギ・リッジは、谷を挟んでデナリ山の真正面に位置しているから、天気さえ良ければ最高の眺めを期待できる。トレイルは谷底の森の中から始まり、高度を増すにしたがって岩の露出した地形からツンドラへと変わっていく。快晴の下、見えるはずのデナリは、雲の中に隠れていた。標高6,190 m、デナリ山の周辺には氷河から蒸発した水分が雲となり、山の周囲にとどまってしまう。そのため、晴れた日であっても、なかなか見ることができないのだ。

最初こそは登りが続くケスギ・リッジなのだが、峠まで登ると後はほとんど平坦で、針葉樹林の広がる谷を見下ろし、対岸にはアラスカ山脈の険しい峰がパノラマに伸びている。青空の下、デナリをおおっていた雲が少しづつ消えていく。キャンプを設置していると、ついに雲が晴れ、デナリの全体が姿を現した。太陽はゆっくりとアラスカ山脈の後ろに傾き、デナリをシルエット状に照らし出す。

 晴天は翌朝まで続いた。テントからデナリがはっきりと見える。7月初旬のアラスカは白夜の真っただ中、日没後、ほんの2、3時間薄暗くなるだけで、またすぐに朝がやってくる。カメラをテントの入り口にセットして、日の出を待つ。太陽がゆっくりと地平線に昇ると、まず山頂を金色に照らし出した。やがて、光がゆっくりと山麓を照らし始める…。

 日が昇るにしたがって、明るい光がデナリの山頂から下へと広がってきた。山の背後の雲が朝日を浴びて桃色に染まる…。北に行けば行くほど、日の出と日没にかかる時間が長くなる。朝日の撮影に時間をかけられるのはありがたい。

朝日を浴びて、デナリとアラスカ山脈が明るい朱色に染まっていった。名もない小さな流れが雪解けの水を谷へと運んでいく。

デナリ南壁の撮影に成功となれば、次はやはり有名な北壁を撮影しなくては、ということで、今週末からデナリ国立公園にて一週間キャンプをしながらじっくりと撮影に取り組む予定だ。8月末のアラスカ内部はすでに秋、紅色に紅葉したツンドラとデナリ北壁の雄姿を様々な角度から撮っていくつもりだ。3週間続いている雨空が晴れて、デナリが現れてくれるのを願って、行ってきます!

2013年2月8日金曜日

夕日に染まるマッキンリー山

 
 
マウント・マッキンリー(現地語でデナリ)を撮影するために、白夜の続く7月に、デナリ国立公園へキャンプに出かけた。北米最高峰のマッキンリー山のあるデナリ国立公園はアンカレッジからは車で約5時間、ビジターセンターからはシャトルバスに乗って、園内のキャンプ場へ向かう。

昨晩の星空がいつの間にか曇り空に変わり、シャトルに揺られて園内の一本道を進むころには、小雨が降り始めてきた。短い夏の間、北米最高峰の峰は毎日のように雲の中に隠れてしまう…。標高6,194 mのマッキンリーは、そのあまりの高さから独自の天候を創り出す。ほんの数時間のうちに、雲を創り出し、姿を被ってしまうのだ。短い夏の観光シーズンに毎日数千人の観光客が訪れるのだが、そのほとんどがマッキンリーの姿を見ることもなく去っていく。

デナリ国立公園唯一の道をシャトルに揺られ数時間、マイル85地点にあるワンダー・レイクキャンプ場にたどり着いた。このキャンプ場の真正面にはマッキンリーがそびえているはずなのだが、目の前に広がるのは灰色の雲の一幕だけ。ここまで曇っていると、この日はマッキンリーの姿を拝めることはないだろうと、すっかりあきらめ気分になった。マッキンリー・バー・トレイルを数時間歩き、キャンプ場に戻ってくる。
キャンプサイトに着く頃から、少しづつ雲が動き出した。雲の間から、少しづつ峰が見え始めた。午後7時を過ぎたとはいえ、真夏のアラスカは20時間以上も日照があるから、まだまだ明るい。マッキンリーを取り巻く雲が少しづつ薄くなっていくのを、その場を離れることなく見つめていた。

雲が動き出して、2時間ほどで、マッキンリー山はその全貌を現した。空全体が次第に晴れ渡り、マッキンリーの向かい側からは太陽も顔を出した。すでに太陽は地平線近くまで傾き、日没間近の暖かい光がマッキンリーの氷河を照らし出した。
 
北極圏に近いここアラスカでは、太陽はゆっくりと時間をかけて地平線に沈む。日が低くなるにつれて、マッキンリー山は黄金色に染まり、ゆっくりと時間をかけてオレンジ色から朱色へと移り変わっていく…。
最後に頂上が桃色に輝き、ゆっくりと色あせていった。

 自然は時には魔法のような瞬間を見せてくれる。

2011年10月21日金曜日

アンカレッジから見えたマッキンリー



10月初旬、アンカレッジ周辺は見事な秋晴れが続いた。私の住むアラスカ内陸部、フェアバンクス郊外ではすでに紅葉は終わっていて、冬の気配が色濃くなっているものの、500キロほど南に位置するアンカレッジではまだ秋だった。海に面するアンカレッジからは、クック湾をはさんで、対岸のキナイ半島に連なる山々が一望に見渡せる。秋の訪れとともに、山の頂上には雪が積もり始め、やがて秋が終わりに近づくにつれて、雪が徐々に下へと降りてくるのだ。そして山全体が雪に覆われる頃には冬がやってくる。
クック湾を望む高台で夕焼けを待つ…。フェアバンクスよりもかなり暖かいのには驚きだが、ありがたい。
黄金色に輝く太陽は、ゆっくりと山の峰に近づき、空を明るいオレンジ色に染めて、その輝きをクック湾の表面に映しだしていた。目の前に広がる見事な光景に心を奪われていたのだが、ふっと別の方向を見ると、はるか遠くにどことなく特徴のある険しい雪山が目に入った。北西にそびえるその白い峰こそは、北米の最高峰、マウント・マッキンリー(デナリ)だったのだ。晴天で空気が澄んでいれば、400キロ以上離れたアンカレッジからもその姿が望めるということには驚きだった。
淡い夕日の光がマッキンリーを朱色に照らし出した。北の大地の夕焼けは長く、本土ではわずか数分で消えてしまう淡い光がしばらく続くのだ…。やがて朱色の光は時間をかけて少しづつ薄れて、空全体が淡いピンクに染まるころ消えていった…。南西の空とクック湾ははまだ明るいオレンジ色に輝いていた…。