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2016年7月23日土曜日

アラスカ、キナイ山脈と夕日


 5月下旬のアラスカはすでに白夜の季節、夜の10時を過ぎたというのにまだ明るかった。キナイ半島に向けてスワード・ハイウェイを南下していると、長い日照時間にようやく終わりが来て、陽が傾き始めた。すでに11時を過ぎている。太陽は時間をかけてゆっくりと西のかなた、海の向こうに沈もうとしていた。

 辺りが桃色の光に包まれて、白いキナイ山脈に最後の光を照らし出した。急いで場所を選んで、カメラをセットする。白夜の日没の空の色はため息が出るほど美しい。

 反対側の空はまさに沈みゆく夕日の輝きで、明るいオレンジ色に染まっていた。

夕暮れの空の色が時間をかけて薄れ、闇が辺りを覆いはじめた。暗闇の訪れと同時に、入り江に潮がゆっくりと戻ってくる音だけが響いていた。





2016年5月21日土曜日

新緑!-アラスカ、スワード・ハイウェイ


 今年の春は例年より2か月も早くやってきた。冬も雪が少なく、気温も割と高めだったけど、4月中旬にはすでに新芽が出始めていた。昨年も春の訪れが早かったけど、今年はさらに早い。温暖化の影響が進んでいるのか、アラスカの冬が短くなっているのを感じる。

 アンカッレジから南下して1時間ほど、海岸沿いにため息の出るような風景が現れる。太古の昔、この辺り一帯をおおっていた氷河によって削られた海岸線。チュガッチ山脈の険しい山々が、海を囲むようにそびえる。緑が色濃く、春から夏にかけて様々な野草が花を咲かせる。ハクトウワシが空を舞い、ドール・シープが岸壁に群れる。何度訪れても、新たな感動に包まれる。特にこの新緑の時期が私のお気に入りだ。

 青い空の下、白樺の森の中を歩く…。新緑の「春の香り」に包まれる。冬がやっと終わって、アラスカの短い活動期が始まったばかりだ。森が開け、眼下に山と海のパノラマが現れた!場所を選んで三脚を立て、撮影を行う。

 白樺の葉はまだ黄緑色、対岸の峰にはまだまだ雪が残っている。アラスカの季節の移り変わりは早い。間もなく、この辺りも鮮やかな野草に飾られる。

2015年9月4日金曜日

ルピナスの咲く丘-アラスカ・アンカレッジ南部

 
アラスカの春は唐突にやってくる。雪が解けるころには、日照時間が一日数分単位で伸びているから、夜遅くまでまで明るいのだ。長い太陽の光の下で、植物はぐんぐんと成長する。わずか数日で、緑が一面に広がり、緑の間から花が咲き始める。短い季節の中で、植物たちは交代に花を咲かせる。新緑の中、ルピナスの青紫色の花が海岸沿いの丘に広がる季節が好きだ。

6月初旬、ルピナスの花畑での夕日の撮影をするために、理想の場所を求めて、アンカレッジから南の海岸沿いを探し歩いた。今年の冬は短かったから、春の訪れもいつもより一月ほど早かったとはいえ、満開はもう少し先のようだった。

なかなかイメージしていたような花畑は見つからなかったけど、そこそこ形の良いルピナスの一群を見つけて、背景になる海の向こうに陽が落ちるのを待った。6月といえばすでに白夜の季節の真っただ中、日没は午前零時近くになる。アラスカには珍しい快晴で、風も全くなく、野草の撮影をするには最高の環境だった。

太陽は時間をかけながら、海岸沿いの山の背後にゆっくりと沈んでいった…。

この日最後の光が、海辺の砂の模様を照らし出す。

こちらは、別の日に海岸沿いの山の上から撮影。ルピナスの青紫が、山の南斜面を覆っていた。

通常のルピナスは青紫色だけど、時々見かける紅色の花。

 これを書いている現在は、すでにオーロラの舞う季節…。アラスカの夏は本当にあっという間に過ぎてしまう…。

2014年6月18日水曜日

アラスカ、キナイ山脈の鏡




今年は春の訪れが早かった。普通なら、やっと雪が解けたけど、まだまだ寒さの続くはずの5月上旬に、すでにアンカレッジ周辺は新緑に覆われていた。

1ヶ以上も早い新緑の季節、そして6月には気温もグングン上昇し、日照時間も延びてすでにアラスカは夏の真っ盛り。一日20時間以上の太陽の下、植物は瞬く間に成長し、原野には早くも野草が次々と花を咲かせている。アラスカで最も美しい季節の訪れが予定以上に早く来てしまったから、撮影をする側も忙しい日々を過ごしている。

キナイ半島に位置する大きな氷河湖、キナイ・レイクはサーモン釣りで有名なキナイ川の源流となる湖として知られているが、晴れた日の湖は息を飲むような絶景なのだ。深いエメラルド色の水面が波ひとつなく穏やかに広がり、対岸のキナイ山脈を湖面に鏡のように映し出す…。

自然写真を始めた頃から、水面に映る風景にはいつも特別な魅力を感じていた。

早朝、前日まで降り続いていた雨が止み、青空が顔を出し始めていた。風は全くなく、湖面は波ひとつない…、静かだ。日の出間もない太陽が、雲の間から対岸の山脈を照らし始めた。雲の隙間から射す細い光は山の頂上から下へと、ゆっくりと移動していった。滑らかな湖面は、山を照らす光の模様をしっかりと映し出している…。誰もいない湖畔で、時の経つのも忘れ、原野の見せてくれる美しい瞬間を見つめていた…。

こちらはキナイ半島北部の湿原に写る氷河と山脈。

2013年5月26日日曜日

アラスカ、チュガッチ山脈


長い冬がようやく終わって、アンカレッジ周辺にもやっと春がやってきた。日照時間が日に日に延びて、5月中旬の今はすでに白夜の始まり、夜の11時過ぎまで明るい。太平洋岸沿いのアンカレッジ周辺はほとんど雪が消え、少しづつ新芽が出始めているものの、周辺の原野では今まさに雪解けの真っ最中。まもなくアウトドアを楽しめる季節がやっくる。

カナダ国境からアラスカ西部の海岸地帯に320kmほど広がるチュガッチ山脈は、アンカレッジの丘陵地から20分ほどでアクセスできる。険しい山岳地帯から湖、氷河、サケの上ってくる大河、数多くの野生動物が生息する変化にとんだ原野は、自然愛好家には大人気、もちろん自然写真家にとっても限りない可能性を与えてくれる場所だ。

雪解けが始まった自然の中で、ふっと見かけた芸術作品。まるでガラス細工のような見事な模様の刻まれた氷の下を、雪解け水が流れる…。

凍った滝に降りかかった粉雪。

チュガッチ州立公園の中でも絶景のエクルートナ湖。5月半ばになってやっと少しづつ解け始めた。

チュガッチ山脈とクック湾をバラ色に染める夕日。(1月に撮影)

犬ぞりチームがチュガッチ山脈の原野を走り抜ける…。

アンカレッジ背後にそびえるチュガッチ山脈。

間もなくやってくる短い春とほんの数ヶ月の夏。新緑に輝くチュガチの自然を撮影するのが楽しみだ。

2011年10月21日金曜日

アンカレッジから見えたマッキンリー



10月初旬、アンカレッジ周辺は見事な秋晴れが続いた。私の住むアラスカ内陸部、フェアバンクス郊外ではすでに紅葉は終わっていて、冬の気配が色濃くなっているものの、500キロほど南に位置するアンカレッジではまだ秋だった。海に面するアンカレッジからは、クック湾をはさんで、対岸のキナイ半島に連なる山々が一望に見渡せる。秋の訪れとともに、山の頂上には雪が積もり始め、やがて秋が終わりに近づくにつれて、雪が徐々に下へと降りてくるのだ。そして山全体が雪に覆われる頃には冬がやってくる。
クック湾を望む高台で夕焼けを待つ…。フェアバンクスよりもかなり暖かいのには驚きだが、ありがたい。
黄金色に輝く太陽は、ゆっくりと山の峰に近づき、空を明るいオレンジ色に染めて、その輝きをクック湾の表面に映しだしていた。目の前に広がる見事な光景に心を奪われていたのだが、ふっと別の方向を見ると、はるか遠くにどことなく特徴のある険しい雪山が目に入った。北西にそびえるその白い峰こそは、北米の最高峰、マウント・マッキンリー(デナリ)だったのだ。晴天で空気が澄んでいれば、400キロ以上離れたアンカレッジからもその姿が望めるということには驚きだった。
淡い夕日の光がマッキンリーを朱色に照らし出した。北の大地の夕焼けは長く、本土ではわずか数分で消えてしまう淡い光がしばらく続くのだ…。やがて朱色の光は時間をかけて少しづつ薄れて、空全体が淡いピンクに染まるころ消えていった…。南西の空とクック湾ははまだ明るいオレンジ色に輝いていた…。