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2016年4月19日火曜日

若いムース(ヘラジカ)-アラスカ、マタヌスカ


 アラスカ中南部に早くも春がきた。例年なら、4月にはまだ雪が残っているのに、アンカレッジ周辺の低地では、すでにひと月以上も前から雪が無くなっているどころか、緑の芽が出始めているのだ。昨年の冬も短かったけど、今年はさらに春の訪れが早いようだ。

2月下旬、まだ雪が残るチュガッチ山脈のふもとのマタヌスカ・ヴァレーに足を延ばした。冬の間、食料を求めて、数多くのムース(ヘラジカ)がこの谷一帯に集まる。白樺の樹皮や小枝など、食べられる植物を探して山を降ってきたムースが民家の間をうろつくのは珍しくはない。それどころか、庭に出没して、植木を食べてしまうのだ。人間が危害を加えないのをわかっていて、子連れでやってくるムースもよく見かけるくらいだ。この若いムースも白樺の枝を食んでいた。まだ幼さが残る若いムースの額には、小さなコブのような角が顔を出してる。夏の間にこの角が成長して、秋には立派な角が完成する。撮影を続けていると、こちらに気付いたようで、目が合ってしまった。大きな瞳で、凝視が続く…。

 突然走り出した。

 速度が増す…。

 アラスカ山脈の峰はまだ真っ白。

陽の光に輝く新雪。春の気配を感じる…。

冬が終わり、アラスカに再び活動の季節がやってきた。


2015年10月27日火曜日

アラスカ内陸の紅葉

 短い夏が終わり、8月下旬からアラスカ内陸部ではすでに紅葉の季節がやってくる。木々の少ないアラスカ内陸の原野では、大地を追うツンドラが鮮やかな紅色に色づく。

 9月に入って間もなく、晴天が続いた。海岸部に近いアンカレッジの木々はまだ夏の終わりの深い緑色。紅葉の大地を求めて、北へ向かった。約200マイル、300キロほど北上すると、森が開け、アラスカ原野特有のツンドラ地帯になる。どこまでも広がるツンドラの原野はすでに紅葉の真っ盛り!成熟したブルーベリーが見事な実をつけていた。山岳地帯を通過中に降り出した雨がやみ、太陽が顔を出すと、一面の紅葉が鮮やかに輝く。さらに絶好のタイミングで虹が架かった!

 翌日、アラスカ東部のカナダ国境沿いまで足を延ばす…。色鮮やかな紅葉は、アラスカ中を染めつくしていた。写真はタナナ川と黄金色に染まる木々。

 青空の下、黄色から朱色まで様々な秋の色に覆われた原野。短い夏の間に蓄えたエネルギーを一気に噴出するかのように、長い冬がやってくる前の最後の瞬間を色鮮やかに飾りつくしているかのようだ。

 日没のひと時。紅葉の丘を、暖かい夕日が照らし出す。日暮れとともにオーロラが現れ、空一面を一晩中舞っていた…。(オーロラの写真は前回のブログに乗せました。)

 翌日も素晴らしい快晴。どこまでも続く原野の紅葉と、名前すらない無数の湖。湖面には青空と険しい山々がくっきりと映っていた。息を飲むほど美しいこの風景は、都市部や観光地から離れた未開の場所にひっそり広がっている…。アラスカ原野にはこのような人知れない、かけがえのない場所がまだまだ残っている。この日、この場所に居合わせて、この瞬間を垣間見ることができたのは、まさに幸運だった。

アンカレッジへの帰路、チュガッチ山脈も赤く染まっていた。

これを書いている10月下旬の現在は、アンカレッジでも紅葉も終わり、曇り空が続いている…。朝夕の気温も下がり、冬の訪れを感じられずにはいない…。次回は夏の間に撮影した写真を載せたいと思う。

2014年4月2日水曜日

マッキンリー上空に舞うオーロラ


厳しい寒さの続く2月初旬、アラスカからカナダ、さらにアメリカ本土にまで実事なオーロラが出現。この時を待っていた。北米最高峰マッキンリー山上空に舞うオーロラを撮影すべく、アンカレッジから北へ向かった。幸い、空は見事に晴れ渡り、雲ひとつない。早くも午後9時ごろから北の空にうっすらとオーロラが弧を描き始めていた。こんなに早く出ているということは、良いオーロラの夜になる前兆だ。

アンカレッジから約2時間ほど北上すると、マッキンリー山の南壁が見え始める。絵葉書やガイドブックなどで有名なマッキンリーの写真のほとんどは、デナリ国立公園内の北側から撮影されたものが多いのだが、その有名な北壁の見える一角は、冬の間零下50度を下回る厳しい原野にあり,園内唯一の未舗装道路も深い雪の下に隠れ閉鎖されている。極地の冬に旅慣れていて、犬ゾリかスノーモービルの達人でもない限り、真冬のデナリの原野を訪れるのには限界がある。今回は、アクセスしやすい南側からの撮影になる。 


ようやくマッキンリー山の見える場所にたどり着いた頃には、うっすらと出ていたオーロラがさらに薄くなり、消えてしまった。 

アラスカ山脈を一望できる場所に移動したものの、オーロラは一向に現れない…。夜11時を過ぎ、寒さが増してきた。見事な星空の下で30分ほど待っていたが、空は静まり返ったままだ…。とりあえず、車まで戻って待つことにする…。長い長い夜が始まった。 

翌朝5時、ついにオーロラが出始めた。防寒具を身につけ、カメラ機材を背負い、すでに選んでおいた場所へとトレイルを走る。空には薄い緑色のオーロラがゆっくりと光の筋を伸ばし、ゆらゆらと動き出した。


一晩中頭上を照らしていた明るい月が沈むと、辺りは急に暗くなり、オーロラが輝きを増した。緑色の光のカーテンの下に、淡いピンクが肉眼でも見えた。
見事な光のカーテンがマッキンリーをはじめとするアラスカ山脈の上空に舞い続けた。あまりにも完璧なショーを目前にひたすらシャッターを切り続けた。 

マッキンリーの上をドラゴンが舞う。 

オーロラの見事なショーは1時間ほど続き、早朝6時ごろうっすらと消えていった…。

2011年4月14日木曜日

夕焼けの空から垣間見たマッキンリー

ある冬の日の夕方に、フェアバンクス郊外の原野を小型飛行機で飛んでいた。フェアバンクスはアラスカ第二の都市で人口約3万5千人なのだが、ちょっと町を外れると、未開の大自然が果てしなく続く…。
小型機は山の間の谷間に沿って、蛇行しながら流れるチナ川の上空を風に揺られながら飛んでいく。真冬の山は雪に覆われ、凍りついた川には雪が積もり、上空から見ると白い一本の道のようだった。山がどこまでも続いていて、人間の痕跡はほとんど見当たらない。

太陽がゆっくりと地平線に沈んでいき、暖かいオレンジ色の光が空を包む…。はるか先の地平線上にアラスカ山脈の峰が険しくそびえていた。さらにその先に、なんと北米最高峰・マッキンリーが姿を現した!夕日に照らされて、ぼんやりと浮かび上がるシルエットはまさにデナリ(マッキンリー)の相貌をしていた。

日が沈むと辺りが淡いパステルカラーに包まれ、近くの峰を桃色に照らし出した。夢の中にいるような美しい瞬間だった。