2009年9月20日日曜日

空から見たランゲル・セントエライアス国立公園

アメリカ最大の国立公園、ランゲル・セントエライアスはその広大な面積に8000メートル級の山脈、無数の氷河を抱えているのだが、そのほとんどが道もない未開の自然に隠されたままだ。この広大な公園を体験するには、ブッシュプレインと呼ばれるセスナに乗って、険しい峰の間を飛んだり、谷を埋め尽くす氷河を空から見下ろすのが一番だ。幸いにもこちらに来てから数回、セスナに乗る機会に恵まれた。

5月下旬、セントエライアス山脈の上空を飛んだ。雲の間を抜け、氷河を抱く切り立った山頂に手が届きそうなくらい近づいた。雪に埋もれた頂上が次から次へと現れ、広大な氷河が視界に広がっていた。現実とは思えないくらい、感動的な光景だ。
数え切れないくらいの氷河が山から流れ、谷を埋め尽くす巨大な氷河に合流していく…この自然のドラマが人知れず数千年、数万年と続いているのだ。
また、この国立公園を流れる主な川の上空を飛んだ。氷河から溶け出た水から始まった川は次第に大きくなり、網の目のように広がって流れていく…。うす曇りの空から差したわずかな光を写して川が銀色に輝いた。厳しい自然の見せてくれる、一瞬の美しい光景だった。
私の住むケニコット上空を飛び、ブラックバーン山の峰をかすめた。ルート氷河がケニコット氷河に合流する地点を空から見下ろした。低空飛行で、真下に広がる氷河は迫力ものだった。

2009年9月10日木曜日

ケニコット・ミル(銅精錬所)・タウン (Kennicott Mill Town)

険しいい高山、氷河に抱かれるようにひっそりと建つ赤い建物…。ランゲル・セントエライアス国立公園の中心部ケニコットはかつて銅鉱山の町として栄えていた。1,900年、当時未開の荒野ケニコット氷河沿いの一帯に純度の高い銅鉱石が発見されて以来、当時最新の技術を誇る精錬所と労働者の生活の町が建てられ、鉱石を運送するための鉄道が急速に引かれた。厳しい労働条件の下、一時期は600人にも及ぶ労働者が、鉱山および精錬所で働いていた。

1938年に鉱山が閉鎖された後、ケニコットはゴーストタウンとして忘れられていたのだが、観光の名所として、近年再び注目を集めている。1980年、ケニコットを含むこの広大な一帯が、ランゲル・セントエライアス国立公園として指定され、ケニコット・ミル・タウンは国立歴史的建築物(National Historic Landmark)に登録された。精錬所をはじめとする当時の建物は、国立公園局によって修復保存が続けられている。

こちらに来て4ヶ月間、自然風景に加え、ケニコット・ミル・タウンの撮影をしてきた。様々な天候、時間帯に撮影してきたが、やはり夕日の下で赤く輝く時が、一番のお気に入りだ。