2015年7月27日月曜日

“太陽の家”―ハワイ・マウイ島、ハレアカラ山頂の日の出


ハワイ語で“太陽の家”という意味を持つ世界最大の休火山、ハレアカラ山頂からの日の出鑑賞は、最も忘れられない神秘的な体験だといわれている。自然写真家としては、その神秘的な日の出をどう撮影するか楽しみだった。

標高2,969 m (9,740フィート)のハレアカラ山頂に、日の出前に到着。日の出までまだ30分以上もあるというのに、広い駐車場はすでにほとんど埋まっていた。数百人にも及ぶ大観衆がすでに、クレーターのふちに陣取り、星空の下で太陽が顔を出すのを待っていた。ハワイといえども、ハレアカラ山頂は別世界。眼前のクレーターからは、砂漠のような強風が砂埃を巻上げ、ホテルの毛布に包まって待つ観光客たちを震えさせていた。ちなみに私はアンカレッジの自宅から空港まで着ていた薄手のダウンジャケットを着ていたのだが、それでも寒かった。

人垣の間からなんとか三脚をセットし日の出を待つ。数多くの日の出を撮影してきたけれど、ここまでの大群衆と見る日の出は初めてだった。空が少しづつ明るくなり、クレーターの向こうに広がる雲海を青白く照らしはじめた。赤みを帯びた火山岩が朝焼けの下で紫色に変わっていった…。現地人のグループらしき人たちがハワイ語らしき言葉で、日の出をたたえるらしき歌を繰り返し合唱していた。ハレアカラ山は古代からの神聖な場所なのだ。

空には赤みが増し、群集の期待も高まってきた。冷たい風は、休みなく吹き続ける。グループの合唱をバックグラウンドに、朱色の太陽がついに雲の上に現れた。

暖かい光が、クレーターの中をオレンジ色に染めていく…。巨大なクレーターの中の、火山地形が今目覚める。空が明るくなっていくのと同時に、クレーターの中も一刻一刻と色を変えていく…。

ハレアカラでの日の出は劇的だったけど、あっという間に終わってしまった。下山途中に、ハワイの州鳥ネネ(ハワイガン)に遭遇。

こちらは前日に撮影したハレアカラ山頂からの日没。天体観測場の後ろに沈む夕日。

  日没後の雲海。

ハレアカラ山背後からの光線状の日の出を海から撮影。個人的にはこの日の出が一番美しかった。


2015年7月15日水曜日

ハワイ・マウイ島—スピリチュアルな竹林の小道

 
昨年の12月、真冬のアラスカを離れ、 ハワイ諸島のマウイへ撮影に出かけた。ビーチもいいけど、深い緑の熱帯雨林と 滝の風景に特に惹かれてしまう。マウイ島東の小さな町・ハナから南下して、ハレアカラ国立公園の一角に 向かう…。まだまだ緑のジャングルが続く…。

連日の雨で水かさを増したワイルア滝。

緑の断崖を流れ落ち、オヘオ峡谷は海へと注ぎ込む。

アジアの風景を思わせるこの竹林。実はマウイ島東部には広大な竹林が広がっているのだ。ハレアカラ国立公園の深い熱帯雨林から始まるこのトレイルは、オヘオ渓谷に沿って続き、滝とともに次第に高度を増していく…。いくつかの小さな橋を渡ると、辺りはいつの間にかジャングルから竹林へと変わっていった。竹林はさらに密度を増し、真昼とは思えないような暗さになった。風と雨、せせらぎの音に交じって、 竹同士がぶつかって独特の音を立てていた。

この雰囲気を写真に表現するためには、三脚を立て、シャッター速度を13秒から15秒まで落とした。風に揺れる竹林をブレなく撮影するのはほとんど無理。

延々と続く竹林の小道を小雨の中歩いていると、なぜかどこか不思議な、スピリチュアルな感じを受けた。その昔、まだ日本に住んでいたころは、竹林を歩いてもこんな感じにはならなかったのに…。アメリカに移り住んで、逆にアジア的なものに神秘を感じるようになったようだ。

竹林を抜けると、高い木々の林になった。木々の間から、緑の崖を流れる滝が見えた!

ワイモク滝、落差122メートル!スピリチュアルな小道の終わりにふさわしい光景だった。

さて、次回は、マウイ島ハレアカラ山頂からの日の出の写真を掲載予定。2週間後ぐらいに、訪れください。