2015年10月27日火曜日

アラスカ内陸の紅葉

 短い夏が終わり、8月下旬からアラスカ内陸部ではすでに紅葉の季節がやってくる。木々の少ないアラスカ内陸の原野では、大地を追うツンドラが鮮やかな紅色に色づく。

 9月に入って間もなく、晴天が続いた。海岸部に近いアンカレッジの木々はまだ夏の終わりの深い緑色。紅葉の大地を求めて、北へ向かった。約200マイル、300キロほど北上すると、森が開け、アラスカ原野特有のツンドラ地帯になる。どこまでも広がるツンドラの原野はすでに紅葉の真っ盛り!成熟したブルーベリーが見事な実をつけていた。山岳地帯を通過中に降り出した雨がやみ、太陽が顔を出すと、一面の紅葉が鮮やかに輝く。さらに絶好のタイミングで虹が架かった!

 翌日、アラスカ東部のカナダ国境沿いまで足を延ばす…。色鮮やかな紅葉は、アラスカ中を染めつくしていた。写真はタナナ川と黄金色に染まる木々。

 青空の下、黄色から朱色まで様々な秋の色に覆われた原野。短い夏の間に蓄えたエネルギーを一気に噴出するかのように、長い冬がやってくる前の最後の瞬間を色鮮やかに飾りつくしているかのようだ。

 日没のひと時。紅葉の丘を、暖かい夕日が照らし出す。日暮れとともにオーロラが現れ、空一面を一晩中舞っていた…。(オーロラの写真は前回のブログに乗せました。)

 翌日も素晴らしい快晴。どこまでも続く原野の紅葉と、名前すらない無数の湖。湖面には青空と険しい山々がくっきりと映っていた。息を飲むほど美しいこの風景は、都市部や観光地から離れた未開の場所にひっそり広がっている…。アラスカ原野にはこのような人知れない、かけがえのない場所がまだまだ残っている。この日、この場所に居合わせて、この瞬間を垣間見ることができたのは、まさに幸運だった。

アンカレッジへの帰路、チュガッチ山脈も赤く染まっていた。

これを書いている10月下旬の現在は、アンカレッジでも紅葉も終わり、曇り空が続いている…。朝夕の気温も下がり、冬の訪れを感じられずにはいない…。次回は夏の間に撮影した写真を載せたいと思う。

2015年10月3日土曜日

9月のオーロラ2‐ アラスカ、トック


 白夜の季節が終わり、夜の暗闇が戻ってきた8月半ばから、オーロラが活発に北の空を舞い始めた。9月に入って間もなく、明るいオーロラを求めて、アンカレッジから北へと向かった。フェアバンクス近郊に現れたオーロラは、休むことなく活発に空を駆け巡った。(前回のブログ)

 翌日、アラスカ東部、カナダ国境近くまでやってきた。雲一つない青空の下、人里から遠く離れた丘の上にキャンプを設置して、オーロラを待つ。 地平線にゆっくりと陽が落ち、空が薄暗くなり始めるのを待っていたかのように、オーロラはすでに北の空に弧を描いていた。空が暗くなるにしたがって、オーロラは明るさを増し、ゆらゆらと動き始めた。光はカーテン状になって空を横切り、反対側の地平線まで伸びきった。

 まるで、極北の川を登るサケのような形になった。

その夜も、明るいオーロラは一晩中、休むことなく動いていた…。

 火山の噴火のように、大地から湧き出す激しい緑色の光。

 天空で炸裂するオーロラ。

 明るく激しい光が、休みなしに動いている。

不死鳥のようなオーロラ。

見事なオーロラは、空一面に広がる…。

内陸アラスカの大地は紅葉の真っただ中。短い夏の間に成長した植物が、燃え尽きる最後の輝きとばかりに大地を鮮やかな紅色に染める。北の地が最も美しく輝く季節だ。まだ冬の訪れには少し早い。この時期のオーロラの撮影は、寒さを気にせず楽しめるのがいい。

次回は、紅葉に染まるアラスカの原野の写真を紹介予定。一週間後ぐらいに、またチェックしてください。