2010年3月26日金曜日

ティートン山脈と開拓時代の納屋

ティートン山脈の山並みをバックにしたこの納屋はCMやポスターなどですっかり有名であり、写真家にはお馴染みのスポットだ。例に漏れず、この風景を撮影するのは数多くの目標の一つだった。特に雪景色の中、朝日を浴びてピンク色に輝く峰を撮影する機会を待っていた・・・。

ここワイオミング州グランド・ティートンは雪が多く、この納屋のあるAntelope Flat Roadは通常2-3mにも及ぶ雪に埋もれ、当然ながら道路は閉鎖される。例年の40%以下という雪の少ないこの冬、3月になるとすでに雪が解け始め、中旬にはすでに道路はオープン!それでもまだ雪景色なのだ。
3月中旬のある朝、日の出前にカメラをセットし、美しい朝焼けになることを願いつつ凍えながら待つ・・・。幸い星が出ていて、快晴は間違いなしだ。午前7:30、東の空が淡いオレンジ色に染まり、空全体が次第に明るくなり始めた。そして、ティートンの峰が淡いピンク色に照らされだした。ピンク色の光は徐々に広がり、やがて山全体を覆った・・・。

わずか数分間の夢のような朝焼けが次第に薄れていき、日の出後の暖かいオレンジ色の光が辺りを包み始めた。
納屋のまわりに残る建物の撮影を始めた・・・。この建物"Mormon Row”は1920年代に開拓者によって建てられたものだ。

ティートン山脈の絶景の前に残る、アウトハウス〔トイレ〕・・・。
ここワイオミングを去る日が近づいてきた・・・。この次は夏の緑に包まれたグランドティートンを撮影したい。

2010年3月11日木曜日

ビッグホーン・シープ

ワイオミング州ジャクソン・ホールから東に約90KmDubois郊外のウイスキー・マウンテンはビッグホーンシープの生息地として知られている。1,450頭を超える羊がこの一帯に住んでいるのだ。
3月初旬の晴れた日に、友人の共にビッグホーン・シープの撮影に出かけた。車で1時間、峠を越え、Duboisへ向かった。滞在中のTogwotee Passやジャクソン・ホールの雪景色とは違い、Dubois周辺はすでに春の気配が漂っていた。雪はほとんどなく、砂漠の茶褐色の土がむき出しだった。川の氷も溶け出していた。

実は少し前にもウイスキー・マウンテンに撮影に来たのだが、わずか2頭の羊がはるか遠くの岩山の峰を駆け上がっているのをかろうじて見ただけで、とても良い写真が取れる距離ではなかった。(その代わり、多数のシカを見ることが出来たけど…)今回は、絶対ビッグホーン・シープを撮影するぞと気合を入れてきた。ワイオミング滞在も残るところ後3週間に迫っている…。

Duboisの小さな町を通り抜け、ウイスキー・マウンテンへ向けてのダート・ロードを小さな渓谷に沿って進んだ。この辺りには、昨夜降ったとも思われる雪が、うっすらと積もっていた。道の両側に迫る茶褐色の岩山に目を凝らし、羊の姿を捜し求めた。羊はおろか、シカ一頭も見かけない…。すでに春の気配、気温が上がると野生動物は標高の高い山に移動してしまう…。すでに時期を逃してしまったのだろうか、動物を全く見かけないまま、ダート・ロードの終点に着いてしまった。

車を止め、2時間ほどトレイルを歩き、戻ってきた。さらに気温は上がり、明るい日差しが砂漠の一帯を照らしていた。

帰路は、ビッグホーン・シープを探すのもあきらめ、他の撮影場所を考え始めていた。突然、動物の群れがひとかたまりになって休んでいるのが目に入った。ビッグホーン・シープだ!
10頭を軽く超える羊の群れが、道からわずか10mほどの岩の上に寝そべり、草を食んでいた。車を止めても、羊たちは全く気にせず、口を動かしている…。羊たちの額には小さな角が2本突き出しているものの、大きな角の巻き上がった雄羊の姿は無かった。
そっとドアを開け、外に出て撮影を始めた。羊たちはまだ気にする気配も無く、寝そべっている。撮影を続けていると、群れの中の何頭かが用心深く立ち上がって歩き出した。後を続く羊の中に、まだ幼さの残る子羊もいる…。わずか数メートル先で立ち止まりまた草を食み始めた。
20頭近くものビッグホーン・シープの群れを間近で撮影できる機会に恵まれ、しばらくは興奮が冷めなかった。