2014年11月27日木曜日

ツール・ド・モンブラン(ヨーロッパ・アルプス)③クールマイヨール~エレナ(イタリア)

 
7月中旬、撮影機材一式背負って、ヨーロッパアルプスのトレイル、”ツール・ド・モンブラン”を歩き始めて一週間になる。アルプスの最高峰・モンブランの周りをぐるりと回るこのコースを歩きながら、アルプスの絶景を撮影する計画で旅立ったのに、初日から悪天候が続き、撮影の機会に恵まれないまま雨の中をひたすら歩いて峠を越えた。フランスからイタリアへ入った辺りから、天気は少しづつ回復を見せ始め、やっと撮影を再開できた。前回の記事で書いたように、イタリア側のモンブランの麓の街・クールマイヨールへ到着。

クールマイヨールで休息の後、次はスイス国境に向けて、再びトレイルを歩き始めた。街を後にし、トレイルは少しづつ勾配を増しながら森の中に続いていく…。いつの間にか文明を後にし、再びアルプスの大自然にすっぽり包まれながら、急になったトレイルを登り続けた。気が付いたらかなり高く登って来ていたようだ。森が開け、クールマイヨールの町が眼下に広がる!

高原に出ると、またしても色鮮やかな山野草の花畑が広がっていた!

さらに登り続けると、氷河を抱くモンブラン山脈と、グランド・ジョラスの険しい岩壁が緑の谷の向こうに、あまりにも見事にそびえていた。待ちに待った太陽と青空の下、目の前にあるものすべてが、輝きを増していた。その日の山小屋に付くまでに、何回立ち止まり、パックを下ろし、撮影を行ったことだろう…。

夕暮れ近く、モンブラン山脈を覆っていた雲が少しづつ薄くなり、ついにモンブランの頂上が姿を現した!シャモニーを出発して以来、ずっと雲の中に隠れていたその姿にイタリア側でやっと再会!イタリア側から見るモンブラン(南壁)はフランス側から見た姿とはまったく別の山のようだった。

翌朝、朝日を浴びて朱色に輝くモンブラン。

こちらはグランド・ジョラス(Grandes Jorasses 、4,208m)。

 グランド・ジョラスと氷河。
 
アルプスに咲く山野草…。

 (次回に続く。)



2014年11月9日日曜日

ツール・ド・モンブラン(ヨーロッパ・アルプス)②エリザベッタ~クールマイヨール(イタリア)

 
今年の7月、アルプスの撮影にヨーロッパへ出かけた。アルプスの最高峰・モンブランを撮影するために、ツール・ド・モンブランという有名なトレイルを、カメラ機材一式背負って、約170キロほど歩いた。このトレイルを、フランス・シャモニーの南、レ・ズーシュの街から出発すること4日目、悪天候の続くなか、フランスからイタリアへの国境を越えた。


4日間降り続いた雨がついに止んだ。雨具なしで山小屋を出て、バル・べニの谷へ向けて山道を下っていく。

日の光が雲の隙間から、山々を照らし出した。谷中に広がる新緑が輝く…。

この谷にはため息の出るような絶景が続いている。トレイル沿いには鮮やかな花畑が広がり、小さな湖はモンブラン山脈の岩肌を鏡のように映し出している。アルプスの美しさを凝縮したようなこの谷は、写真家の夢、一日中撮影を続けても飽きることがないだろう…、ただしもう少し天気が良くて、背景に青空が広がればの話だが…。

トレイルは谷を離れて、急な登りとなった。登りきったところから、谷を見下ろす崖沿いにトレイルが続いている。深い谷の対岸にはモンブラン山脈がそびえ、数々の氷河が岩肌を流れ落ちている。素晴らしい絶景のはずなのだが、灰色の雲が再び空を覆い、今にも雨が降り出しそうな暗さだ…。このツール・ド・モンブランを歩き始めて以来、天気には恵まれていない。撮影の機会を逃し続けている…。

やっぱり雨が降り出した。降り出した、と思ったら一気に土砂降りになった。クールマイヨール(Courmayeur)の町に向けて、急下降するトレイルを、滑りながらひたすら下る…。木々の間から、街が見えてきた。

クールマイヨールは久しぶりの賑やかな街だ。街の中に入ったとたん、まるで中世の時代へ来てしまったかのような、錯覚を覚えた。このドローン(Dolonne)と呼ばれる一角は、石造りの建物に狭い路地、歴史を感じる小さな教会、道のすべてが石畳…という、古くて魅力的な雰囲気を出していた。時間を変えて、何度かこの一角に足を運び、撮影を行った。

特に夕刻の雰囲気が好きだ。

こちらは、クールマイヨールの中心街。観光客の集まるモダンな一角だ。ここはイタリア側モンブラン麓の街、フランス側のシャモニーとは一味違う。

 (ツール・ド・モンブランの撮影記は次回に続きます。)