2016年8月25日木曜日

アラスカ、デナリ(マッキンリー)南壁

 北米の最高峰、デナリ山(旧名マッキンリー)をデナリ州立公園側から撮影。ちなみにデナリ州立公園は、あの有名なデナリ国立公園とは別物で、デナリ国立公園の南側にアラスカ州の州立公園として指定されている。このデナリ山という名は、アラスカ先住民語で偉大なもの(High One)を意味し、マッキンリーと名付けられる以前から使われていたもので、昨年オバマ大統領のアラスカ来訪の際に正式名に改称された。

朝日に輝くデナリの南壁を撮影するために、デナリ州立公園のケスギ・リッジへ出かけた。このケスギ・リッジは、谷を挟んでデナリ山の真正面に位置しているから、天気さえ良ければ最高の眺めを期待できる。トレイルは谷底の森の中から始まり、高度を増すにしたがって岩の露出した地形からツンドラへと変わっていく。快晴の下、見えるはずのデナリは、雲の中に隠れていた。標高6,190 m、デナリ山の周辺には氷河から蒸発した水分が雲となり、山の周囲にとどまってしまう。そのため、晴れた日であっても、なかなか見ることができないのだ。

最初こそは登りが続くケスギ・リッジなのだが、峠まで登ると後はほとんど平坦で、針葉樹林の広がる谷を見下ろし、対岸にはアラスカ山脈の険しい峰がパノラマに伸びている。青空の下、デナリをおおっていた雲が少しづつ消えていく。キャンプを設置していると、ついに雲が晴れ、デナリの全体が姿を現した。太陽はゆっくりとアラスカ山脈の後ろに傾き、デナリをシルエット状に照らし出す。

 晴天は翌朝まで続いた。テントからデナリがはっきりと見える。7月初旬のアラスカは白夜の真っただ中、日没後、ほんの2、3時間薄暗くなるだけで、またすぐに朝がやってくる。カメラをテントの入り口にセットして、日の出を待つ。太陽がゆっくりと地平線に昇ると、まず山頂を金色に照らし出した。やがて、光がゆっくりと山麓を照らし始める…。

 日が昇るにしたがって、明るい光がデナリの山頂から下へと広がってきた。山の背後の雲が朝日を浴びて桃色に染まる…。北に行けば行くほど、日の出と日没にかかる時間が長くなる。朝日の撮影に時間をかけられるのはありがたい。

朝日を浴びて、デナリとアラスカ山脈が明るい朱色に染まっていった。名もない小さな流れが雪解けの水を谷へと運んでいく。

デナリ南壁の撮影に成功となれば、次はやはり有名な北壁を撮影しなくては、ということで、今週末からデナリ国立公園にて一週間キャンプをしながらじっくりと撮影に取り組む予定だ。8月末のアラスカ内部はすでに秋、紅色に紅葉したツンドラとデナリ北壁の雄姿を様々な角度から撮っていくつもりだ。3週間続いている雨空が晴れて、デナリが現れてくれるのを願って、行ってきます!