7月下旬、アラスカ、 マクニール・リバー野生動物保護区に滞在し、サケを獲るヒグマの撮影を行った。この短い夏の数週間、サケ(チャム・サーモン)が産卵のために生まれ故郷のマクニール川に戻ってくる。そのサケのごちそうを求めて、数多くのヒグマたちがこの川沿いに集合するのだ。川いっぱいのサケたちは、急流の段差が続くマクニール・リバー滝で、泳ぐ速度が急激に落ちてしまう。待ち受けたヒグマたちが、その瞬間を狙いごちそうにありつく。滝の周辺は特等席だから、体の大きい雄のクマたちが常にそこに居座っている。十数頭の巨グマたちがひしめき合う風景は、かなりの迫力ものだ。
この紅一点の雌グマは、毎日このお気に入りの急流に立って、流れを登ってくるサケに狙いを定める。サケが近くを通った瞬間、素早い動きでサケを捕まえる。彼女のテクニックはなかなかのもので、周りのどの雄グマよりも成功率が高かった。
数頭の巨グマたちが、水しぶきを浴びながらサケの通るタイミングを待つ…。
ユニークなのが、この〝スノーケリング″スタイル。
この、体に大きな傷のあるひときわ巨体のクマは、急流の波にもまれながらひたすら待ち続ける。長い時間、川を凝視して、タイミングを狙っている。突然、川に潜り、サケを加えて浮上。クマたちのほとんどが、撮った魚を浅瀬や陸に持っていって食べるのだけど、この巨グマはそのまま波にもまれながら食べ、またすぐに次を狙う。なかなか腕が良く、次々に獲物を捕らえていた。
長年のテーマの一つとして、野生のクマの撮影を行っていて、今までにいくつかのクマの集まる場所を訪れているけれど、このマクニール・リバーに勝るところは他にないだろう。
現在、数千枚にも及ぶ写真の編集作業の真っただ中。これからも少しづつ、マクニール・リバーからのクマの写真を紹介していく予定だから、どうぞよろしく!