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2014年4月2日水曜日

マッキンリー上空に舞うオーロラ


厳しい寒さの続く2月初旬、アラスカからカナダ、さらにアメリカ本土にまで実事なオーロラが出現。この時を待っていた。北米最高峰マッキンリー山上空に舞うオーロラを撮影すべく、アンカレッジから北へ向かった。幸い、空は見事に晴れ渡り、雲ひとつない。早くも午後9時ごろから北の空にうっすらとオーロラが弧を描き始めていた。こんなに早く出ているということは、良いオーロラの夜になる前兆だ。

アンカレッジから約2時間ほど北上すると、マッキンリー山の南壁が見え始める。絵葉書やガイドブックなどで有名なマッキンリーの写真のほとんどは、デナリ国立公園内の北側から撮影されたものが多いのだが、その有名な北壁の見える一角は、冬の間零下50度を下回る厳しい原野にあり,園内唯一の未舗装道路も深い雪の下に隠れ閉鎖されている。極地の冬に旅慣れていて、犬ゾリかスノーモービルの達人でもない限り、真冬のデナリの原野を訪れるのには限界がある。今回は、アクセスしやすい南側からの撮影になる。 


ようやくマッキンリー山の見える場所にたどり着いた頃には、うっすらと出ていたオーロラがさらに薄くなり、消えてしまった。 

アラスカ山脈を一望できる場所に移動したものの、オーロラは一向に現れない…。夜11時を過ぎ、寒さが増してきた。見事な星空の下で30分ほど待っていたが、空は静まり返ったままだ…。とりあえず、車まで戻って待つことにする…。長い長い夜が始まった。 

翌朝5時、ついにオーロラが出始めた。防寒具を身につけ、カメラ機材を背負い、すでに選んでおいた場所へとトレイルを走る。空には薄い緑色のオーロラがゆっくりと光の筋を伸ばし、ゆらゆらと動き出した。


一晩中頭上を照らしていた明るい月が沈むと、辺りは急に暗くなり、オーロラが輝きを増した。緑色の光のカーテンの下に、淡いピンクが肉眼でも見えた。
見事な光のカーテンがマッキンリーをはじめとするアラスカ山脈の上空に舞い続けた。あまりにも完璧なショーを目前にひたすらシャッターを切り続けた。 

マッキンリーの上をドラゴンが舞う。 

オーロラの見事なショーは1時間ほど続き、早朝6時ごろうっすらと消えていった…。

2013年2月8日金曜日

夕日に染まるマッキンリー山

 
 
マウント・マッキンリー(現地語でデナリ)を撮影するために、白夜の続く7月に、デナリ国立公園へキャンプに出かけた。北米最高峰のマッキンリー山のあるデナリ国立公園はアンカレッジからは車で約5時間、ビジターセンターからはシャトルバスに乗って、園内のキャンプ場へ向かう。

昨晩の星空がいつの間にか曇り空に変わり、シャトルに揺られて園内の一本道を進むころには、小雨が降り始めてきた。短い夏の間、北米最高峰の峰は毎日のように雲の中に隠れてしまう…。標高6,194 mのマッキンリーは、そのあまりの高さから独自の天候を創り出す。ほんの数時間のうちに、雲を創り出し、姿を被ってしまうのだ。短い夏の観光シーズンに毎日数千人の観光客が訪れるのだが、そのほとんどがマッキンリーの姿を見ることもなく去っていく。

デナリ国立公園唯一の道をシャトルに揺られ数時間、マイル85地点にあるワンダー・レイクキャンプ場にたどり着いた。このキャンプ場の真正面にはマッキンリーがそびえているはずなのだが、目の前に広がるのは灰色の雲の一幕だけ。ここまで曇っていると、この日はマッキンリーの姿を拝めることはないだろうと、すっかりあきらめ気分になった。マッキンリー・バー・トレイルを数時間歩き、キャンプ場に戻ってくる。
キャンプサイトに着く頃から、少しづつ雲が動き出した。雲の間から、少しづつ峰が見え始めた。午後7時を過ぎたとはいえ、真夏のアラスカは20時間以上も日照があるから、まだまだ明るい。マッキンリーを取り巻く雲が少しづつ薄くなっていくのを、その場を離れることなく見つめていた。

雲が動き出して、2時間ほどで、マッキンリー山はその全貌を現した。空全体が次第に晴れ渡り、マッキンリーの向かい側からは太陽も顔を出した。すでに太陽は地平線近くまで傾き、日没間近の暖かい光がマッキンリーの氷河を照らし出した。
 
北極圏に近いここアラスカでは、太陽はゆっくりと時間をかけて地平線に沈む。日が低くなるにつれて、マッキンリー山は黄金色に染まり、ゆっくりと時間をかけてオレンジ色から朱色へと移り変わっていく…。
最後に頂上が桃色に輝き、ゆっくりと色あせていった。

 自然は時には魔法のような瞬間を見せてくれる。