2015年9月4日金曜日

ルピナスの咲く丘-アラスカ・アンカレッジ南部

 
アラスカの春は唐突にやってくる。雪が解けるころには、日照時間が一日数分単位で伸びているから、夜遅くまでまで明るいのだ。長い太陽の光の下で、植物はぐんぐんと成長する。わずか数日で、緑が一面に広がり、緑の間から花が咲き始める。短い季節の中で、植物たちは交代に花を咲かせる。新緑の中、ルピナスの青紫色の花が海岸沿いの丘に広がる季節が好きだ。

6月初旬、ルピナスの花畑での夕日の撮影をするために、理想の場所を求めて、アンカレッジから南の海岸沿いを探し歩いた。今年の冬は短かったから、春の訪れもいつもより一月ほど早かったとはいえ、満開はもう少し先のようだった。

なかなかイメージしていたような花畑は見つからなかったけど、そこそこ形の良いルピナスの一群を見つけて、背景になる海の向こうに陽が落ちるのを待った。6月といえばすでに白夜の季節の真っただ中、日没は午前零時近くになる。アラスカには珍しい快晴で、風も全くなく、野草の撮影をするには最高の環境だった。

太陽は時間をかけながら、海岸沿いの山の背後にゆっくりと沈んでいった…。

この日最後の光が、海辺の砂の模様を照らし出す。

こちらは、別の日に海岸沿いの山の上から撮影。ルピナスの青紫が、山の南斜面を覆っていた。

通常のルピナスは青紫色だけど、時々見かける紅色の花。

 これを書いている現在は、すでにオーロラの舞う季節…。アラスカの夏は本当にあっという間に過ぎてしまう…。