2015年9月16日水曜日

エクルートナ・レイクにての夕焼け

チュガッチ山脈に横たわる氷河湖、エクルートナ・レイクはアンカレッジから近いということもあり、お気に入りの場所に一つだ。陽の光を浴びて瑠璃色に輝く湖の風景は、いつ見ても感動的だ。度々訪れ、湖畔の様々な場所から撮影してきた。

ある夏の日の夜、夕日の撮影のために湖一望に見下ろす丘の上まで、トレイルを歩いた。7月初旬のアラスカの日は長く、日没は夜11時過ぎ。森の中をうねるように続く山道を登っていくころには、すでに薄暗くなり始めていた。近くの木々の中から、ガサガサ音がしたと思ったら、なんとブラック・ベア(アメリカ・クロクマ)が近くの藪の中を歩いていた!植物が密生していて、姿はほとんど見えなかったけど、歩き回る音だけは静かな森の中に響いていた。
森が開けて、エクルートナ・レイクが眼下に見えてきた。太陽はすでに傾き、日没間際の暖かい光が山肌を照らし出していた。雲の間から、朱色の光のリボンが対岸の峰を染める…。穏やかな湖面には、夕日に照らされたチュガッチの山々がくっきりと映っている。深夜の奇跡的に美しいい光景が目の前に広がっている。まさに撮りたかった瞬間だ。

アラスカでお馴染みの野草、ファイヤ・ウィード(和名・ヤナギラン)がすでに鮮やかなピンクの花を咲かせていた。このピンクの野草の先の部分が咲くころには、アラスカの短い夏は終わりに近づいている…、と言い伝えられている。まだ下の部分が咲き始めたところだけれど、まだ7月の初めだというのに夏の終わりを感じるなんて、寂しい気分になる。アラスカの夏は、本当にあっという間なのだ。

この日の日没は、意外にも短く感じた。緯度の高いアラスカでは日没の時間が本当に長く、時間をかけてスポットを選びながら撮影できるのだが、黄金色の光は雲の中で徐々に弱くなってしまった。

さて、これを書いている9月半ばはすでに秋も終わりに近づいている…。すでにオーロラが空を舞い始める季節になった…。次回は夏の終わりに現れた見事なオーロラの写真を紹介したいと思う。